Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第1章.始まり

19.目覚め

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「くっ…!【影魔術】!」
 私は【影魔術】を発動させ、黒いモヤの突進を受け流す。


 ギャリギャリ


 その音は、あの球状の物体からは鳴るわけがない音がした。

 やばい。
 咄嗟に反応して【影魔術】を発動させたけど…SPが今ので100も削られた。
 あの突進を受け流す事が出来るのはあと5回…。


(スプリング! 俺もいる! )
 ベリアルはそう叫ぶと、背に背負っている三叉槍を黒いモヤに向けた。


 ベリアル…!そうだ…2人で連携を取らないと…!


「…そっか! じゃあ少しの間お願い!」
 私がそう言うと、


(任せて!)
 と言ってベリアルが飛び出す。


 ベリアルは黒いモヤの周りを飛び、撹乱する。そして隙をついては三叉槍で突くを繰り返す。


 まずは情報収集だ。

 私はその隙に【影魔術】を使って、近くの瓦礫を黒いモヤへと投げる。
 瓦礫は黒いモヤを通り過ぎる。


「…!」
 私は触れたのに…。魔術でも触れた。ベリアルも触れてる。私達が関係してる物でしか接触できない?
 私は情報を整理する。


「「「うぼぉぉぉー」」」


 そう思っていると、黒いモヤが低い声で鳴いた。先程とは違い、幾人もの怒りが込められた様な鳴き声をあげると、黒いモヤは炎に包まれた。

(あ、あっつい!)
 ベリアルはそう言うと、黒いモヤから距離を取る。


「鳴き声で属性が変わるの?」
 そうだったらまずい!


「ベリアル! 短期決戦で行くよ! ベリアルの今で1番強い攻撃を出して!」
 私はベリアルに言う。


(1番つよい攻撃…。分かった!)
 ベリアルはそう言うと三叉槍を構える。


(【闇魔術】!)
 三叉槍に闇が纏わりつく。


 ベリアルは準備を進める。


 私もやらないと!
 私は【影魔術】を発動させ、私の影から1本の槍を作り、空中に浮かばせる。

「ふぅ。まだ…これじゃあ足りない…。」
 私は【魔力制御】で槍にほぼ全てのSPを込める。


「…今! ベリアル!」


(分かった!行くよー!!)
 ベリアルは三叉槍に闇を纏わせる。槍の周りには乱気流が起きる。

(ここ闇の気が強い!)
 そう言うと、ベリアルは三叉槍をしっかり持った。そして突撃する。


 私はベリアルの攻撃に合わせる!
【影魔術】で作った槍を黒いモヤに照準を合わせる。

 …今!!


(ダークスパイラル!)
「影槍!」




 2つの技は黒いモヤのど真ん中に当たった。


「「「うがぁぁぁー!!」」」
 黒いモヤが悲鳴をあげた。倒れた。


「た、倒した?」

(倒した! やった!!)


 黒いモヤは霧の様に消え、無くなった。



「よ、よかった~。死ぬかと思ったよ。」
 私は安心して地面に腰を下ろす。


(勝った!勝った!)
 ベリアルも喜んでいる。


 でも…これであの子を助ける事は出来たのかな? しかも【光魔術】も覚えれてないし、これでよかったのかなぁ?
 私は釈然としなかった。


(スプリングー!  どうやって帰るー?)
 ベリアルが私に問う。


「あ、えーと、どうやってだろう…」
 私は頭を悩ます。

「と、とりあえずこの街から出ようか?」
 私は何の根拠もなしに言った。


 その言葉のせいで、
 あんな事が起きるとは知らずに…。







(倒した! 強敵! 倒した!)
 ベリアルは変な踊りをしている。


「ちょっと~、ベリアルはしゃぎ過ぎだよ~。」
 私はベリアルを見て心を落ち着かせながらも、まだ何かやる事があるかもしれない、ソフィアさんはなんて言ってたっけ?たしか光と影がとか言ってたっけ?
 と、考えながら街から出る。


 街から出た瞬間、

 ゴォォォッ

 という風切り音が聞こえた。


(スプリング!!)
 前を飛んでいたベリアルが、突然私を街へ押し返した。


「イテテ、ベリアル? 何?」
 そこにはポリゴン化した物があった。


「え…」


「ベリアル! どこに居るの! 返事して!!」
 私の声は、空間に虚しく響き渡る。

 ペキ


「ベリアル?」
 今音がした。私が視線を動かすと先程と同じような黒いモヤがいた。



「あの攻撃を受けてても…生きてたの?」
 また黒いモヤは突進してくる。私はそれを辛うじて転がりながら避ける。


 避けた先には、三叉槍な先っぽが落ちていた。私はそれを強く握りしめる。


 ベリアルが死んだ??

 ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない


 私はベリアルの死を受け入れる事が出来なかった。涙が止まらなかった。なんであの時私は街から出ようなんて言ったの? 私が街から先に出てたらベリアルを助けれたかもしれないのに。

 全部たらればでしかなかった。

 黒いモヤは、私の心境などお構いなしに突進してくる。

「もういいか…どうなっても…」
 私はそう言って棒立ちになり、









 突進をギリギリの所で避け、残り僅かなSPで【影魔術】を発動させる。


 シュッ


 少しだけ傷をつける。



「諦めてたまるか!!  絶対ベリアルの敵を取ってやるわ!!」
 私は黒いモヤに向かって叫ぶ。

 私は攻撃に備えながら思う。
 意気込んではみたけど…このSPでどうやって戦うか…。
 そう思っていると、突然









(…少しは助けてあげる。)
 そんな声が聞こえた。
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