Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第2章.幻想

36.エリアボス戦2

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 ワタシ、カンジヨメナイデース。


 チリッ


 体力:8/10


 あっ、やっぱり読めます!
 てかふざけてる場合じゃないよ! 早く火から離れないと!

 私は周りの燃え上がっている木々から離れる。
 それと同時に、ドライアドに近づいてるわけで…



「ーーーッ!!」

「ひぃー!!」
 私は影でドライアドの葉っぱ攻撃を受ける。

 このままじゃジリ貧だ…どうにかしないと…。

 そうだ!


「ベリアル!! 【闇魔術】でどうにかならない!?」
 私が聞くと


(SPない~、【いたずら】なら発動できるよ?)

「そ、それは最終手段で。」
 それはやったらどうなるか分からないからね…
 クソ~! 私の子達をこんなに虐めたのに! 何も出来ないなんて!! どうすれば…。


 私は上空に目を向ける。するとこちらの様子を伺っているソーマと目が合った様な気がした。


 どう…すれば…


 あ、いい事思いついたかも。







 チリッ

「スプリング達大丈夫かな…。まさかフェイズ2になるなんて思ってもなかった…。」

 サキは周りの火からダメージを受けながらも、後方で心配していた。そしてスプリング達に言ってなかった事を後悔していた。
 あの有名な『幻想姫』だ。どうにかなるんだろうと、たかを括っていたのだ。

 相手と1番厄介なSP吸収を教えただけで、フェイズ2になるという事を話していなかった。


「まさか周りの木を燃やしてもフェイズ2になるとはね…。」
 そう。大木を燃やすとドライアドが怒って進化するのだ。私はそれを防ごうと声をかけたが…今回は周りの木々を燃やして進化してしまった訳で…。

 いや、でもしょうがないじゃないですか。
 だってあんなモヤモヤしたのが【火魔術】使うと思わないし…。今回はダメかなぁ。

 サキが心の中でそんな事を思っていると。



「おぉーーー!!!」

「ッ!?!?」


 あの先輩は常識知ってる様で、全然知らない。

「はは…忘れてた。」
 あの人は、このゲーム内で初日にして名を挙げた『幻想姫』だと。







「おぉーーー!!! 」

 いやぁ、ちょっとテンション上がっちゃうね!! だって子供の頃の夢を実現させてるんだもん!!


(スプリングすごい!! 飛んでる!!)


 そうなのだ。私は今、飛んでいた。何故浮いてるかと言うと…このスキルだ。


【浮遊】…SPを使わずに浮かぶ事ができる。


 このスキル、今まで使う事がなかったけど…まさかこんなに良いものだったとは!!


「ーーッ!」
 ドライアドが葉っぱ攻撃を私達に仕掛けてくる。


(スプリング!? どうやって防ぐの!?)
 とベリアルの焦った声が聞こえてくる。


「ふふっ、大丈夫。安心してベリアル。」
 私はそう言うと、捕まえていたベリアルを下にして盾のように構える。


(…スプリング?)
 と悲しそうな目で見て来るベリアル。


 いや、そんな目しないでベリアル…!ちゃんと考えてるから!!


「【光魔術】発動!!」

 私は自分の背後に光の玉を作る。


 薄暗かった部屋が明るく照らされる。
 そして、私の影がベリアルに映し出される。


「それで…こう!!」
 私は同時に【影魔術】を発動させる。


「…よし!!」
 私は同時発動を成功させ、葉っぱ攻撃を防ぐ事に成功する。


 これで防ぐ事ができた!! あとは攻撃!!


 ってあれ?


 地面にいる時と状況変わんなくない?
 ドライアドに全然近づけないで終わってるよ!


(スプリングさん!! 大丈夫ですか!?)
 ソーマが私の近くまでやって来る。


「ソーマ見て! 私飛んでるよ! ソーマと一緒!」

(う、嬉しいですけど! それは後です!!)
 ちょっと照れてるソーマかーわーいーいー(ギャル風)!


 で、どうするかだけど…


「ソーマ、まだ火魔術使える?」

(はい。使えますけど…?)

 うん…なら近づけはしそうだね。


「じゃあソーマ…」

 私はソーマに伝える。


(それならなんとか…)

「よろしくね。」


 私達は早速、作戦を実行する。


(【誘引】【火魔術】!)
 ソーマは【誘引】をしながら、【火魔術】を発動させてドライアドの注意を引く。
 所々の葉っぱに火がつき、燃え落ちる。

【誘引】はすぐに解けて、ドライアドは周囲を警戒する。ドライアドは特に上を警戒している様だ。


 だけど、私達はそこにいないよ。


 私達はソーマが【誘引】を使って、すぐに下へと降りた。ドライアドの目には光魔術を使っていたせいか、先程よりも部屋が暗く感じているだろう。だから私達がさっきまで使っていた【光魔術】を解く事で気配を薄くした。
 それに上を警戒しているって事は、下が疎かになるって事だしね!!

 私は近づく事を悟られずに、【光魔術】をドライアドの真正面で思い切り使う。


「~~~ッ!!?」
 ドライアドの目は潰れ、悲鳴を上げている様だ。葉っぱ攻撃をしているが、葉っぱが所々焼け落ちていて、先程よりも受けるのが楽になっている。


 そして私は【光魔術】を使いながらドライアドのすぐ側まで近づく。


「まさか【光魔術】にこんな使い方があったなんてね。」
 私は【光魔術】で作った、強い光の玉を後ろ足元へ置く。







 するとスプリングの影は大きく映し出される。
 スプリングの影は通常より大きく動く。


「ーーーッ!!?!?」
 ドライアドが後ずさって行く。


「何? 私が怖いの?」
 スプリングが近づくとドライアドは、スプリングと連動する様に距離を取る。


「可愛い。」


 スプリングがそう言った瞬間、ドライアドが覚悟を決めたかの様に体当たりをしてくる。体当たりだと影て防げないと判断したんだろう。確かにそれは正しい。


「それは悪手だよ。」


 スプリングはそう言うと、影を槍の様に変化させると、それをドライアドへぶっ刺した。



「ーーーッ!、!」



 スプリングはドライアドの様子を見ると、後方で待っている私の元へ歩いて来た。


 しかし


「ーーーーーッ!!!」
 最後の抵抗か、様子を見計らっていたのか、ドライアドがスプリングへと襲いかかった。


「ベリアル。」


(てやぁ!!)
 スプリングが予想していたかの様にそう呟くと、ベリアルがドライアドの後方から三叉槍での攻撃を繰り出す。
 その攻撃は、ドライアドの体力を失くすには十分だったみたいだ。


「ッ…!」


 ドライアドは今度こそ倒れ、ホログラムになって消えていった。







「サキさん! お待たせ!」

「ははっ……」
 あまりのスプリングの戦いぶりに、私は苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。
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