50 / 57
第2章.幻想
48.決着
しおりを挟む
「「「後はお前だけだ…。」」」
黒いソーマはそう言うとソーマに近づいていく。
(う、うわぁ~っ!!)
するとソーマは黒いソーマの前から逃げる。
「「「なんだ? 」」」
黒いソーマは笑いながらそう言うと、近くにあった家の瓦礫へ行く。
「「「お前の素早さじゃ僕から逃げられないよ?」」」
僕は瓦礫の裏を覗く。
そこには、
シクシクシク
「「「昔の僕?」」」
瓦礫の裏側には生きていた頃の僕の姿が。
「「「何が起きているんだ?」」」
あいつは何処に行った…?
黒いソーマが辺りを見渡す。
「ソーマ。そこで何をしてるの?」
そして僕はある声に反応して、後ろを振り向く。そこには、
「「「お母さん。」」」
そこには泣いているソーマに、微笑みながら歩み寄ってきている母の姿があった。
「あら? 泣いているの? 何かあった?」
母はソーマの隣へと座ると、ソーマの頭を撫でる。
「お父さんに…怒られた。」
僕はこの時、お父さんに遊んでもらおうとして話しかけた。懐かしいな。
「お父さんは今、大事な儀式の途中なの。邪魔しちゃダメよ。」
そうだ。そう言われた。
「儀式って?」
「とても大変な儀式よ。代々やってきた事をやってる封印…いや、なんでもないわ。お父さんもピリピリしちゃってるのよ。」
今思えばそれが今の僕だった訳か。
これから何か言われた気がするけど…何だったか。
「ソーマ。」
「何?」
「もし私達に何かあっても…不貞腐れちゃダメよ? 」
「何かって?」
この時からお母さんは察していたのか? いつかは殺されるかもしれないと…。
「私達がいなくなってしまったらって事。」
「え! いやだよ~!!」
「そこでいじけてる暇があったら、好きな人に会って、好きなように生活する。そこからは1度きりのソーマの人生なんだから楽しまないと損じゃない?」
お母さんが笑う。
そうか、こんな事もあったのか…。
あの頃の僕にとって、お父さんとお母さんが全てだった。あの頃に戻りたいなぁ。
「まだ戻れるよ。」
「「「本当に?」」」
「うん。これからの人生どうやって過ごすのかはソーマ次第だよ。」
「「「僕、次第…。」」」
…。
「「「戻りたい…!」」」
パリーン!!
僕の周りの景色が、鏡が割れた様に崩れ落ちていく。
「黒いソーマ、ここにいるソーマ。私にとってはどっちも同じソーマだよ。」
「「「同じ?」」」
黒いソーマが首を傾げる。
「そう。憎いと思っているソーマも、私といて楽しんでいるソーマも。」
スプリングは黒いソーマに歩み寄る。
「「「僕は…」」」
黒いソーマは下を見る。
「顔を上げて。」
黒いソーマは顔を上げる。
「顔を上げないと見えない景色もあるんだよ?」
私は黒いソーマへと手を差し伸べる。
「「「顔を…上げる。」」」
黒いソーマが私の手に触れた瞬間、一瞬強い光に包まれる。
〈ソーマが条件を満たしました〉
〈進化を開始します〉
ソーマは青い炎に包まれる。
『ふむ。まさか私のが先にやられるとはな。やるな、小さき者よ。』
それは私の頭の中で響く。
『神の尖兵の1体 "黒霧のソーマ"が撃破されました』
『最大功績者 スプリングには称号『神の敵』を贈与します。』
黒いソーマはそう言うとソーマに近づいていく。
(う、うわぁ~っ!!)
するとソーマは黒いソーマの前から逃げる。
「「「なんだ? 」」」
黒いソーマは笑いながらそう言うと、近くにあった家の瓦礫へ行く。
「「「お前の素早さじゃ僕から逃げられないよ?」」」
僕は瓦礫の裏を覗く。
そこには、
シクシクシク
「「「昔の僕?」」」
瓦礫の裏側には生きていた頃の僕の姿が。
「「「何が起きているんだ?」」」
あいつは何処に行った…?
黒いソーマが辺りを見渡す。
「ソーマ。そこで何をしてるの?」
そして僕はある声に反応して、後ろを振り向く。そこには、
「「「お母さん。」」」
そこには泣いているソーマに、微笑みながら歩み寄ってきている母の姿があった。
「あら? 泣いているの? 何かあった?」
母はソーマの隣へと座ると、ソーマの頭を撫でる。
「お父さんに…怒られた。」
僕はこの時、お父さんに遊んでもらおうとして話しかけた。懐かしいな。
「お父さんは今、大事な儀式の途中なの。邪魔しちゃダメよ。」
そうだ。そう言われた。
「儀式って?」
「とても大変な儀式よ。代々やってきた事をやってる封印…いや、なんでもないわ。お父さんもピリピリしちゃってるのよ。」
今思えばそれが今の僕だった訳か。
これから何か言われた気がするけど…何だったか。
「ソーマ。」
「何?」
「もし私達に何かあっても…不貞腐れちゃダメよ? 」
「何かって?」
この時からお母さんは察していたのか? いつかは殺されるかもしれないと…。
「私達がいなくなってしまったらって事。」
「え! いやだよ~!!」
「そこでいじけてる暇があったら、好きな人に会って、好きなように生活する。そこからは1度きりのソーマの人生なんだから楽しまないと損じゃない?」
お母さんが笑う。
そうか、こんな事もあったのか…。
あの頃の僕にとって、お父さんとお母さんが全てだった。あの頃に戻りたいなぁ。
「まだ戻れるよ。」
「「「本当に?」」」
「うん。これからの人生どうやって過ごすのかはソーマ次第だよ。」
「「「僕、次第…。」」」
…。
「「「戻りたい…!」」」
パリーン!!
僕の周りの景色が、鏡が割れた様に崩れ落ちていく。
「黒いソーマ、ここにいるソーマ。私にとってはどっちも同じソーマだよ。」
「「「同じ?」」」
黒いソーマが首を傾げる。
「そう。憎いと思っているソーマも、私といて楽しんでいるソーマも。」
スプリングは黒いソーマに歩み寄る。
「「「僕は…」」」
黒いソーマは下を見る。
「顔を上げて。」
黒いソーマは顔を上げる。
「顔を上げないと見えない景色もあるんだよ?」
私は黒いソーマへと手を差し伸べる。
「「「顔を…上げる。」」」
黒いソーマが私の手に触れた瞬間、一瞬強い光に包まれる。
〈ソーマが条件を満たしました〉
〈進化を開始します〉
ソーマは青い炎に包まれる。
『ふむ。まさか私のが先にやられるとはな。やるな、小さき者よ。』
それは私の頭の中で響く。
『神の尖兵の1体 "黒霧のソーマ"が撃破されました』
『最大功績者 スプリングには称号『神の敵』を贈与します。』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる