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第6章 (1)アカリside
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【朝/自宅】
「……」
眠ったのか、眠っていなかったのか分からない。
ヴァロンが一緒にいない広いベッドで私は布団に包まっていた。
契りを交わすようになって以来、彼が帰宅した夜は絶対に私の傍にあった愛おしい温もり。
……それが、ない。
いくら布団をまとっても寒い。
ヴァロンは明け方に家を出て行った。
出掛ける仕度をしている彼の気配に気付いていながら、見送らなかったのは初めての事。
出掛ける間際に寝室を覗いて、「行ってきます」と小さな声で言ってくれた彼を……私は無視してしまった。
「……っ」
たくさんの後悔が押し寄せる。
”大っ嫌い”なんて、どうして言っちゃったんだろう……。
あの時のヴァロンの表情が、頭から消えない。
「……っ!?」
気持ち……悪ぃ……ッ。
私はベッドから起き上がると、洗面所に駆け込んだ。
吐き気が込み上げてくるが、結局昨日もほとんど何も食べていない状態で寝てしまった為吐く物なんてない。
それなのに治らない不快感に、私はうずくまったまま動けないでいた。
「っ……。
もぅ、やだ……ッ」
気持ちが不安定で、苦しくて、辛くて……。
湧き上がってくるのが嫌な感情ばかり。
知らなかった。
赤ちゃんを身籠る事の重さ。
嬉しくて、幸せな事ばかりだと思っていた。
……。
きっと私は、純粋に赤ちゃんを望んでたんじゃない。
心の何処かでリディアさんに負けたくなかったんだ…。
ヴァロンの子供を産んでいた、彼女に…。
彼の過去を知ってから、受け入れた聞き分けの良いフリをして……。
本当はずっと心に引っかかってて、不安で嫉妬してた。
比べる事なんて出来ないのに……。
リディアさんより、ヴァロンに愛されてるって。
大切にされてるって、思いたくて……。
赤ちゃんが出来れば安心出来るって、馬鹿な事を……きっと思ってた。
母親になるという事に自分の覚悟が足りなかったと、実感する。
「……」
眠ったのか、眠っていなかったのか分からない。
ヴァロンが一緒にいない広いベッドで私は布団に包まっていた。
契りを交わすようになって以来、彼が帰宅した夜は絶対に私の傍にあった愛おしい温もり。
……それが、ない。
いくら布団をまとっても寒い。
ヴァロンは明け方に家を出て行った。
出掛ける仕度をしている彼の気配に気付いていながら、見送らなかったのは初めての事。
出掛ける間際に寝室を覗いて、「行ってきます」と小さな声で言ってくれた彼を……私は無視してしまった。
「……っ」
たくさんの後悔が押し寄せる。
”大っ嫌い”なんて、どうして言っちゃったんだろう……。
あの時のヴァロンの表情が、頭から消えない。
「……っ!?」
気持ち……悪ぃ……ッ。
私はベッドから起き上がると、洗面所に駆け込んだ。
吐き気が込み上げてくるが、結局昨日もほとんど何も食べていない状態で寝てしまった為吐く物なんてない。
それなのに治らない不快感に、私はうずくまったまま動けないでいた。
「っ……。
もぅ、やだ……ッ」
気持ちが不安定で、苦しくて、辛くて……。
湧き上がってくるのが嫌な感情ばかり。
知らなかった。
赤ちゃんを身籠る事の重さ。
嬉しくて、幸せな事ばかりだと思っていた。
……。
きっと私は、純粋に赤ちゃんを望んでたんじゃない。
心の何処かでリディアさんに負けたくなかったんだ…。
ヴァロンの子供を産んでいた、彼女に…。
彼の過去を知ってから、受け入れた聞き分けの良いフリをして……。
本当はずっと心に引っかかってて、不安で嫉妬してた。
比べる事なんて出来ないのに……。
リディアさんより、ヴァロンに愛されてるって。
大切にされてるって、思いたくて……。
赤ちゃんが出来れば安心出来るって、馬鹿な事を……きっと思ってた。
母親になるという事に自分の覚悟が足りなかったと、実感する。
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