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第6章 (3)ヴァロンside
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しおりを挟む「条件飲む前に、一回くらい抱いとけば良かったかな~。
どうせ跡継ぎ作らなきゃいけないし、女なんて子供さえ産んでくれたらもう用無しだから……。
君もこんな無理な交換条件引き受けなくても、私の使用済みで良ければその後返してあげるよ」
こんな挑発に乗る必要ない。
アカリの良さが分からない奴に何を言っても無駄だ。
……。
分かってる。
っ……でも……。
初めてはらわたが煮え繰り返る位に、誰かを許せないと思った。
「……いい目だね。
ゾクゾクするよ、ヴァロンのその眼差し」
アランがペロッと舌で自分の唇を舐めながらニヤリと笑う。
俺は自分でも気付かないうちに、奴を殺気の溢れた視線で睨みつけていた。
「……君は賢い。
本当は私の事なんて殺したいだろ?」
アランの手が俺の手を取り、自分の首を絞めさせる様に添えさせる。
「どうぞ?今なら目撃者もいない。
ヴァロンなら出来るんじゃない?完全犯罪」
そう言ったアランは本当に俺に身を任せる様に力を抜いて、無抵抗。
俺が本気になれば、間違いなく仕留められる。
……。
けど……。
俺が相手を許せない程怒る原因がアカリなのと同時に……。
俺を鎮めてくれるのも、また彼女だ。
血に塗れた汚い手で、アカリに触れる事なんて俺には出来ない。
彼女はきっと俺が殺人犯になっても、一緒に居てくれるだろう。
俺に変わらず笑顔でいてくれる。
……。
俺はアカリの元に帰ると、約束した。
ずっとずっと、守り抜く。
「……せっかくの機会ですが。遠慮します」
俺はアランの首から手を放し、サングラスを奪い返すと身に付けて鞄を手に持った。
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