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第3章(1)ツバサside
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しおりを挟む7月6日。
レノアの誕生日前夜祭の当日がやって来た。
兄から代わりに前夜祭に行くよう頼まれて、あれから色々考えた。
今もレノアに会う不安や恐怖が消えた訳じゃないし、正直今更どんな顔で会えばいいのか分からない。
けど。このまま彼女に会わなければ、俺の古傷は永遠に治る事はなく、かさぶたを付けて剥けて、またかさぶたを付けて剥けて……。永遠と繰り返す事になるだろう。
例えレノアと話せなくても、今彼女が幸せなのだとこの瞳で確認出来たら、きっとこの古傷は消えると思った。
もう痛みを感じて立ち止まらない為にーー。
俺は、今日行く事に決めた。
たまたま週末の学校が休みの日で良かった。
お昼過ぎに自宅を出ると、電車に乗る事数時間。前夜祭に参加する身支度を整える為に兄に指定された仕立て屋に向かう。
すると、その店の前で待っていたのは……。
「!……え?もしかして、シオン?」
「ツバサ様、お久し振りです」
俺が名前を呼ぶと、灰色の髪を束ねた燕尾服の男が胸に手を当てて頭を下げる。
彼はシオン。普段は兄の秘書兼執事、更にボディーガードを勤めるとても優秀な男だ。
彼の親は俺の父とその父である祖父ちゃんに仕えていたらしく、その縁で息子のシオンも父に仕え、そして今は兄に仕えてくれている。
「もしかして、今日俺に付き添ってくれるのって……」
「はい。本日は微力ながらご一緒させて頂きます」
シオンが俺を見て微笑むのを見て、俺の表情も緩む。
微力なんてとんでもなかった。
シオンは俺が子供の頃から面倒を見てくれたもう一人の兄のようで、更に家庭教師。勉強や体術、護身術を教えてくれて夢の配達人になる為のサポートをしてくれた先生みたいな存在。
そんな彼とは兄が社長になって以来そっちに付きっきりになってしまい、なかなか会う事が出来なかったのだ。
だから今日久々に会えて、俺は本当に嬉しくてうれしくて、そして心強かった。
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