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第6章(6)ツバサside
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しおりを挟むしかも、どの料理の盛り付けも小盛りで、少食な……。まさに俺にピッタリな朝食だった。
「……こっちの方が、好きでしょ?」
「っ、母さん……」
正面の席に座って俺に尋ねると、母さんは恥ずかしそうな、少し申し訳なさそうな表情をして、更に言葉を続けた。
「長い間、無理させて本当にごめんね。
大好物を作って待っていたら、いつか父さんが帰って来てくれる気がしてたの。
それに、ほら、ヴァロンは大食いだから、いつ帰って来てもいいように大量に作ったりしちゃって……」
食べる事が大好きで、いつも母さんの料理を「やっぱり、アカリの手料理は最高だな!」って大量に頬張ってた父さん。
料理を作る、という事は、母さんが父さんをいつまでも待っていたいという気持ちの表れだったのだ。
「でも、もう大丈夫」
「母さん……」
「私は、もう大丈夫!」
大丈夫ーー。
母さんの全ての想いが、その言葉だけで伝わってきた。そしたら同時に俺の心も、落ち着く。
「……めちゃくちゃ美味しそう。頂きます!」
「はい、召し上がれ」
心もお腹も満たされる、優しくて暖かい朝食だった。
この日、俺はきっと初めて父さんの本当の気持ちが少し分かった。
また食べたい。またこの場所に帰って来たい。
そう思える料理を作れる母さんは、やっぱりすごくて……。
俺は自分の両親がとても愛し合っていて、互いを支え合っていて、大切にしていた、理想の夫婦なんだって改めて実感した。
そして、いつか自分も、そんな家庭を築きたいと思えた。
「美味しいよ、すっごく」
「良かった!……あ、お代わりする?」
「うっ、……それは、ごめん」
「ふふっ。ほんっと、ツバサは少食ね!」
微笑み合って、壁も偽りもなく会話して、俺と母さんはようやく新しい日を歩み出した。
父さんの事を、忘れられる訳じゃない。
今でもあの事故が嘘で、生きていて、帰って来てくれたら、って思う。
でも、だからこそ、もう立ち止まらない。
夢でもいい、もしも父さんにもう一度会えた時、情けない自分を見せたくない。
微笑って、頭を撫でてもらえる、そんな自分で在りたいから……、……。
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