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第7章(4)ヴィンセントside
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しおりを挟む「貴方ね、BARまで来て水はないでしょ?水は!
少しくらいお酒飲んでみなさいよ」
「飲めない酒飲んで不味いって思ったり、醜態晒すよりマシだろ?それより俺は腹減ったんだって!
んと、真鯛のマリネとカプレーゼと……あ、ピザもいいな。マルゲリータとサラミのやつとビスマルク。あ、あと生ハムの……」
ッーー……?!
な、何なんだこの人はッ?!
フードファイターか何かなのか……ッ??!
男性は更に私を驚かせる。
どちらかと言うと酒がメインで料理はつまみのこの店で、ガッツリと食事をする気らしい。
呆気に取られる私の横で、注文の嵐は止まらない。ついついまたいつの間にか隣をじっと見てしまっていると、私の視線に気付いたのかこちらを見た男性とバチッと視線が合ってしまった。
しまったーーッ!!
ギクッとしたが、変に顔を逸らすのも感じが悪い気がして「あはは」ととりあえず微笑ってみた。
すると……。
「それ、何?」
「へ?」
「君が食べてるそれ何?」
男性はそう言って、私が注文して食べかけていた料理を指差した。
「あ、こ、これですか?ソーセージ盛り合わせ……」
「ソーセージ盛り合わせ!それも追加!」
「ちょっと!いい加減にしてよ、恥ずかしい!」
私の言葉を最後まで聞く事もなく注文し、連れの女性に怒られている男性。一見無礼にも取れるし、せっかく素敵な外見をしているのに勿体無いというか、何とも少し残念というか……。
ーー……でも。
「いいじゃん。こういう場は楽しむもんだろ!
……なっ?君もそう思わねぇ?」
そう言って、私に屈託の無い態度と笑顔で接して来たこの男性を、私はあっという間に好きになってしまっていた。
これがツバサ君の父親であるヴァロン殿と、後に私の妻となるミネアとの出会いだった。
立派な家柄に産まれて、立派な父の息子として産まれた瞬間からほぼ私の人生は決まっていた。取り囲む環境も人も、選ばれたものや人物としかこれまで付き合って来なかった。
だから、私にとってこの日は新たな人生が拓けた日だった。
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