片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第7章(4)ヴィンセントside

4-4

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「あ、自己紹介が遅れたな。俺はヴァロン」

「ヴァ、ヴァ……ロン?
まさか貴方!その、髪と瞳。ヴァロン、って……もしかしてっ……」

少し会話をした後、自己紹介をしてくれた男性の言葉に私はまた驚いたよ。

ーー託された夢は必ず叶えるーー

まさか、かつて19年もの長い間最高位トップの白金バッジを維持し続け、数えきれない人々の夢を叶え続けた、あの伝説の夢の配達人と謳われた"ヴァロン"本人が目の前に現れたのだからね。

「あ、やめてくれよ。俺はもう今は夢の配達人じゃねぇんだ。そこら辺にいる"ただのおじさん"の1人だから、そんな感じに扱って?……で、こっちはミネア」

「騒がしくてごめんなさいね。ミネアです、よろしく」

「!……え?ミネア、って……貴女はもしかしてハンク様の娘さん、では?」

「!……父を、ご存知なのですか?」

驚きの連続だったよ。
連れの女性は国で上位を争うホテルを建設しているハンク様の娘。そして当時はお父さんから独立して会社を立ち上げ、"働く女性の鏡"として活躍し始めていた人だったのだから。

今夜はすごい日だな。
憂鬱な気分でここへ来たのに、輝かしい二人を目の前にして私の気持ちはすっかり弾む。
しかし、自己紹介されれば、当然こちらも名乗らない訳にはいかない。それに……。

「父をご存知、と言う事はもしかしてお仕事でご一緒した事があるのでは?」

「!っ、え……あ、はい。まあ……」

その質問に思わず口籠もってしまった。
が、先程自ら彼女をハンク様の娘、と口にしてしまった以上、下手に誤魔化す事は出来ない。
自分の素性を明かせば、その家柄や立場から周りの人が余所余所しくなってしまい、悲しい思いや寂しい思いをする事が多々あった私は、出来ればこの二人に本名を語りたくないと思ったのだ。

……でも、それは一瞬だった。
私を見つめるヴァロン殿と瞳が重なった瞬間、そんな思いは一切消える。

大丈夫ーー。

そう告げる何かに動かされて、口が開いた。

「僕は、ヴィンセント。
ヴィンセント・アッシュトゥーナ、と申します」

「!……ヴィンセント、って。貴方があのアッシュトゥーナ財閥のっ?」

ミネアは私の素性を知って、とても驚いていた。
……けど、ヴァロン殿は……、……。
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