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番外編④三月side
④-1-6
しおりを挟むその表情を見た瞬間。一時期は兄のオレにでさえも時折怯えた瞳をしていた紫季を思い出して、一瞬躊躇しかけた。
ーー……でも。
何故かサクラなら、微笑ってくれると思ったんだ。
「オ、オレもアンタと話せて楽しかった。っ……だから、また、話そうぜ!なっ?」
たったそれだけの言葉を伝えるだけで、めちゃくちゃオレの心臓はドキドキしてた。
胸が痛くて、苦しくて……。息が上手く出来なくて、酸欠になりそうで……。こんな苦しい想いすんなら、言わなきゃ良かったとすら思いかける。
けど、……。
「ーーはいっ!楽しみにしています!」
涙ぐんで、嬉しそうに微笑むサクラを見たら、全ての苦しみや辛さから解放された気がした。まるでずっと冬だった心に春が来たような、そんな暖かさを感じたんだ。
きっとこの瞬間から、オレはサクラに恋をしてたーー。
……
…………。
でも、オレがその気持ちに気付くのはもう少し後。
家に戻って、オレの帰りを待ってた紫夕を見たら、あまり歳の変わらないサクラを自分が恋愛対象に見ているなんて思わなかった。
「親父!おっせーよ!今日は訓練してくれるって約束しただろっ?」
「ああ、わりぃわりぃ!」
紫夕の頭を撫でながら、オレはこの子に感じる愛おしい感情とサクラに感じた気持ちを同じだと思っていた。
オレと紫季と紫夕が写った写真が飾ってある棚の上の写真立てを見て、懐かしいあの日を思い出していた。
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