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第8章 (4)たくさんのありがとう
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しおりを挟む暖かい温もり。
心地良いテンポの鼓動の音。
そして……。
いつも服の上から見ただけじゃ分からなかったけど、逞しい胸板。
「……バロン、着痩せするんだね」
「アカリはもう少し柔らかい方がいいね。
必要な部分がさ」
「ッ~~!?
もうっ、バロンッ……!」
意地悪そうに彼の身体がククッと言う笑い声と共に揺れた。
でも、ムッとして顔を上げると……。
そこには私の大好きな笑顔があった。
ーー好き。
「バロン、ありがとう。
ここに、来てくれて……。
生まれてきてくれて、ありがとう!」
そう言った私を、バロンは少し驚いた表情で見つめていて……。
暫くして、優しい笑顔を返してくれた。
出逢えた奇跡に、ありがとう。
翌日、バロンは私の召使いに戻った。
私の誕生日まで、あと約三ヶ月……。
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