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第10章 (2)シュウside
2-2
しおりを挟む「俺にやらしてよ。
結構上手いんだぜ?髪結ぶの」
「はぁっ……?!」
「ほいっ!前向いて前向いて~」
ヴァロンは私を海の方を向かせて背後に立つと、髪紐を口に咥えて髪をいじり始めた。
長い指を器用に使い、手ぐしをしながら私の髪を分けて丁寧に結っていく。
初めてされる女子のような扱い。しかも、相手は大好きな彼。
微妙に近くて背後に感じるヴァロンの気配に意識が集中してしまう。
「一回やってやりたかったんだよな。
お前の髪、可愛くすんの」
「ふ、普通でいいですよ!
早く終わらせて下さいっ……」
髪紐で髪を纏められたと思ったら、彼はそこから更にいじっていく。
なかなか終わらない作業に胸がドキドキして落ち着かない。
「普通じゃつまんねぇじゃん。
綺麗なのに束ねてるだけなんて勿体ねぇって……」
「っ……。ヴァロン、そういう台詞は女性に言って下さいっ……」
”綺麗”……。
深い意味はないと分かっていながら、ヴァロンの言動に限界が近付いてきて私は赤い顔を隠すように俯いた。
すると……。ヴァロンが手を止めて、私の頭をそっと撫でる。
「……いいじゃん。
一回くらい、女扱いさせろよ」
「!……。
……。え……?」
「……お前さ。
俺の事、ずっと好きでいてくれただろ?」
「……」
……。
……ヴァロン?
今、なんて……?
彼の言葉に、私は耳を疑った。
自分だけ時間が止まったように、固まる。
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