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第10章 (2)シュウside
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…………。
『いいじゃん。
一回くらい、女扱いさせろよ』……。
『お前さ。
俺の事、ずっと好きでいてくれただろ?』……。
……。
ヴァロンは……。
確かに、そう言った……?
ーーっ……いつ、から?
いつから、気付かれて……ッ。
違う、と……。
否定すればいいのに……。頭が真っ白になって、冷静になれない。
振り返ったらヴァロンがどんな表情をしているのか……。そればかりが頭を過って……。身体が震え出して、平常心でいられない。
”気持ち悪い”……。
そう思われるのが……。ヴァロンに困った表情をされるのが、怖いッ……。
カタカタ震える自分の手を握り締めて、私は俯いた。
……そう、か。
これは罰だ。
私がヴァロンへの想いから、また醜い心を生み出したから……。
今度こそもう、彼の傍にいられない。
そう、絶望しかけた私。
ーーけど、私は忘れていた。
ヴァロンが、決して私に絶望など与えないと言う事を……。
「……シュウ」
名前を呼ばれたと思ったら……。ヴァロンは私を抱き寄せて、自分の胸に、ギュッと抱き締めてくれた。
「……ごめんな。
ずっと傍に居てくれたのに……。俺は、お前の気持ちに気付かないフリしてた」
彼の優しい声と、鼓動が私の耳に響く。
「言ったら、お前がいなくなる気がして……。もう一緒に居てくれない気がして……。
本当のお前から、目を背けてた」
それは、私と全く同じ気持ち。
言ったら全てが壊れてしまう気がして……。何とか保とうとしてきた、想い。
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