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第10章 (2)シュウside

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「……けど。辛かったよな?
……。ごめんっ。黙って俺の傍に居てくれた。
お前の優しさに甘えて、ごめんな……っ」

私を抱き締めながら、ヴァロンが声を震わせて……謝った。


……何故?
っ……何故、何故……?!


「っ……なんでッ。いつもヴァロンが先に謝るんですかっ……?!」

私の瞳から、涙が溢れ落ちた。


いつだって、そうだった。
初めての恋に戸惑って八つ当たりした時も。
喧嘩した時も……。
そして、今も……。

ヴァロンは絶対に、私に絶望を与えない。
どんなに私が醜くても、汚くても……。


人を哀れんだり。
同情したり。
偏見を持ったり、しない。

何を、私は見ていたんだろう?
何を必死に彼に隠そうとしていたんだろう?

ヴァロンは私の気持ちに気付いたくらいで、嫌ったり避けたりする人間じゃないと……。分かっていた筈だったのに。

そんな彼だから、好きになったのに……。


「っ……君の優しさに、甘えていたのは私の方ですッ。
いつもヴァロンは……私の、夢でしたッ」

追いかけても追いかけても、届かない夢。
途中で何度も諦めようとした。

……でも。
ヴァロンは距離が離れないように、いつも振り返って私を見てくれていた。

「……白金バッジ。あんなに重たい夢を、背負わせてすみませんッ……!」

私との約束が、彼をずっと縛っていた。
リディアとの下剋上の後、ヴァロンは一度夢の配達人を辞めたのに……。
ボロボロだったのに……。
私との約束を叶えると、言ってくれた。


私は知っていた。
白金バッジになった日。ヴァロンが独りで、ずっと涙を堪えていた事を……。

白金バッジを眺める度に、今も辛そうな瞳をしている事を……。


私にとって白金バッジのヴァロンと働ける事は掛け替えのない夢。
けど、彼にとってはきっと重い足枷。

そう思ってた。
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