【R18】夢の言葉と虹の架け橋【続編①】

☆リサーナ☆

文字の大きさ
186 / 297
第10章 (2)シュウside

2-5

しおりを挟む

「……ばーか」

……でも。
ヴァロンは微笑んでくれた。
俯いていた私の顔をグイッと持ち上げて、瞳を真っ直ぐ合わせてくれた。


「お前とのその約束があったから……。
俺は今、ちゃんと生きてるんだよ」

そう言って……。沈んでいた私の心も、持ち上げてくれる。

「1番辛かった時、お前との約束が力になって……。
俺に幸せな今をくれたんだよ」

ヴァロンは少し身を屈めて、いつの間にか結い終わっていた私の髪の裾を持って……。そこに軽く口付けた。


「……ありがとう。
お前の1番欲しいものを、やれなくてごめん。
……でも、ずっと一緒だから。
白金バッジの夢は、お前と……。シュウと共に叶え続けると、誓う」

ヴァロンの強い誓いの言葉と、大好きな眼差しに……。胸が熱くなる。


「……俺にしか、出来ない事だろ?」

少し首を傾げて、意地悪そうに微笑むヴァロン。
私の大好きな、ヴァロン。


叶わなかった恋。
決して結ばれない相手。

けど。
大好きな君の大切な時に、力になれた。

幸せだと今、笑顔で生きてくれている。

愛する君が輝いてくれているなら、こんなに幸せな恋の終わりは……ない。


「っ……はい。ヴァロンにしか叶えられない、私の夢です!」

私は微笑むと、そのままヴァロンに抱き付いた。


「……大好きです。
私は、ヴァロンが大好きですっ……!」

「……馬鹿。知ってるよ」

ヴァロンはそっと抱き締め返して、私の頭を優しく撫でてくれた。

涙がなかなか止まらない私を、ずっと離さないでいてくれた。
昔、医務室で私が泣いた時と同じように……。

きっとあの時から、ヴァロンは気付いていたんだ。
”嫌い”と叫んだ、私の反対の気持ちに……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ヘンタイ好きシリーズ・女子高校生ミコ

hosimure
恋愛
わたしには友達にも親にも言えない秘密があります…。 それは彼氏のこと。 3年前から付き合っている彼氏は実は、ヘンタイなんです!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...