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第12章 (1)ヴァロンside
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しおりを挟む「だから、このままアカリと繋がりたい。着けずに、したいと思ってる」
やっと一緒に、素直に愛し合える相手に巡り会えた。
もう、何にも遮られたく……ない。
……けど。
「……でも。
アカリにまだその覚悟がないなら……。
ちゃんと、子供が出来ないように避妊するから。
……教えて?」
俺は知ってるから。
望まれない子供の苦しさ。
愛してくれないなら、どうして産んだんだろう?
そう問い掛け続ける、悲しさ。
そして……。
軽率な行為のせいで産まれて親に会えない。
そんな子を、もう作っちゃ……いけない。
親子なのに、互いに名乗れず。
堂々と一緒に居られない。
そんな悲しい事を、俺は繰り返したくない……。
アカリと瞳を合わせたまま、俺は彼女の返答を……。待った。
驚いた表情をしていたアカリは、俺の言葉の意味に気付いたように真っ赤になって……。
ゆっくり……。包みを持つ俺の手を、握った。
「……着けなくて、いい」
首を横に振って、俺を見てくれた。
「わ、私も……ほしい。
ヴァロンの赤ちゃん、ほしい」
そう言ってくれたアカリの瞳が、綺麗で……。
照れたように微笑む表情が、可愛くて……。
アカリとなら、絶対に大丈夫だと思った。
「……ありがとう」
俺は包みを棚の上に置いて、アカリを抱き締めた。
「俺の夢、叶えて?
アカリと子供と……。ずっと家族で、幸せに暮らしたい」
「っ……。はい……っ」
俺の言葉に、彼女は涙ぐんで頷いてくれた。
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