【R18】夢の言葉と虹の架け橋【続編①】

番外編 秘密の約束〜ギルバートside〜

１-５

「はい、どうぞ」

僕はコーヒーを淹れると、椅子に座るリディアさんの前にある小さな机にカップを置いた。
すると……。


「ありがとう」

彼女は素直にお礼を言い、コーヒーを一口飲んでふ～っと息を吐く。

その光景を僕は思わずじっと見つめた。


「？……なによ？」

「！……あ、いえ。
珍しいな、と思いまして」

僕がいつも飲み物を出すと、「なによ、酒じゃないの？」といわれるのが定番。
そのお決まりのようなやり取りがなくて、僕は少し違和感を感じる。


「ああ、お酒？……止めたわよ」

「！？っ……えッ？」

リディアさんの衝撃告白に、最近の中で一番と言う位に僕は驚いた。

リディアさんと言えばお酒。
お酒と言えばリディアさん。
そんな言葉がピッタリな位に、彼女はお酒が大好きで酒豪だった。

そんなリディアさんがお酒を止めたなんて……。


「……リディアさん？
何か、あったんですか？」

僕は心配になって、リディアさんの正面に座ると真剣に見つめた。

ヴァロン君の事だけじゃなくて、実は最近のリディアさんの仕事振りも僕は気になっていた。
夢の配達人で人気も実績もNo. 1の彼女。
確かに元々忙しかったけれど、最近のリディアさんはいつも以上に忙しくしている。

まるで……。
今しか出来ない事を焦って済ませているように……。