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(3)ギルバートside
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しおりを挟むすると、僕の返答を聞いたヴァロン君の表情が変わる。
「……あんた、馬鹿なの?」
「!ッ……え?っ」
ガラッと変わった彼の鋭い目付きに、ザワッと胸が騒ぎだして……。
心臓が嫌なバクバク音を立て始めた。
”殺される”……!?
そう、感じてしまうような……殺気に近い、迫力。
身体がカタカタと震えだす。
……。
でも、それは一瞬で……。
「いいよね。
そうやって他人に任せて、誰かに何とかしてもらえる人はさ。
言いなりになって、流されて、楽だよね?
すごく……」
そう言ったヴァロン君の瞳は切なくて、苦笑の表情を浮かべていた。
他人任せの、人生。
自分なりに、考えがあって……。
意思を持って、僕は家を飛び出したつもり……。だった。
自分の父親に知ってほしくて、自分の気持ちに気付いてほしくて……。
なんとか、したかった。
でも、実際はどうなんだ?
家出しても、何も変わってない。
自分のやりたい事も見付けられずフラフラして……。
なんとなく、仕事して。
ただ与えられた仕事を、して……。
けど。業績もろくに上げられずに、結局僕は周りの人を頼りにして……。生きてる。
失敗しても大丈夫だと。
自分の後ろ盾を、帰る場所を……。
父を、頼りにしてるんだ。
……。
全部全部、”つもり”だった。
何も、自分の力で頑張っていない。
”中途半端な人間”……。
そう言われた本当の意味が分かった。
リディアさんの瞳を真っ直ぐに見る事も出来ずに避けて、逃げて……。
言われて当然だと、何もしないうちから諦めて、怯えて……。
大切な親友の彼氏がこんなんじゃ、リディアさんが嫌っても仕方ない。
父さんが、認めてくれる……筈もない。
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