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番外編 虹の雫〜リディアside〜
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しおりを挟む私が身籠った事なんてお構いなし。
男達は散々私を慰み者にして、棄てた。
……。
その結果。
子供はこの世に産まれてくる事も出来ず……。
私も母体への影響があって、医師からもう子供を産むのは難しいと診断された。
そんな絶望の中。
私を支えてくれたのはサヤと、夢の配達人のマスター・ギャランだった。
二人は私が町で倒れているのを保護して病院まで運んでくれた人物。
同じ年の友達なんていなかった私にとって、毎日の様に側に居てくれたサヤは掛け替えのない存在。
卑屈な私を見捨てないで、一緒に笑って泣いてくれた優しい女の子。
そして、私に生きる道を示してくれたマスター。
短所を生かすも殺すも自分次第だと。
私の存在を否定せずに、初めてそのままでいなさいって……。言ってくれた。
私は、夢の配達人になる事を……決めた。
人一倍努力した。
13歳から勉強も運動も、全て一からスタートさせて昇りつめた。
私をバカにした奴等になんて、負けない。
男達になんて、もう絶対に屈したりしない。
私の下で膝間付きなさい。
私を欲しがる男なんて、全部棄ててやる。
憎しみを力に変えて、突き進んでた。
”夢を届ける妖精”……。
そう言われていたけど、嫌味にしか聞こえない。
だって、みんな言ってるわ。
陰でこそこそ”あいつは悪女”だって……。
それでいい。
私にはサヤとマスターとお酒があればいい。
19歳。
白金バッジになった私に、もう怖いものなんてなくなった。
雨上がりの空。
綺麗に架かる虹を見上げるのが、好き。
まさかこの景色を、隣で見て欲しいと思う相手が出来るなんて……。
私は、思ってもみなかった。
……
…………。
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