265 / 297
(4)リディアside
4-5
しおりを挟む
【自宅/リディアの部屋】
私の願いも虚しく、自宅に着いてしまった。
ヴァロンは真っ直ぐ私を私の部屋に連れて行くと、ベッドにそっと寝かせた。
……寂しい。
彼の温もりから離されて、切なくなる。
「ん~……ここ、どこぉ~?」
「家だよ、家。
あんたの部屋だろ、どう見ても!」
薄っすら目を開けて寝惚けたフリをする私。
まだ離れたくなくて、私は立ち上がろうとするヴァロンの腕を掴んで止めた。
「や~!行っちゃだめ~。
ヴァロン~、行かないで~……」
「はぁ?水取りに行くんだよ!
放せ、酔っ払い!」
行かないでっ……。
心の中で叫んで、私はヴァロンの腕に纏わり付いた。
「……ったく。
明日二日酔いになっても知らねぇからな」
優しい彼は、私を強引に振り払わなかった。
ベッドの端に座って、私をなだめるように傍に居てくれた。
胸が、キュンッとする。
「……。
なんか、あったのか?」
ヴァロンが、私の頭を優しく撫でてくれた。
あんなに嫌いだった男の手。
触れられる度に嫌だと思った男の手。
……でも、全然違う。
こんなにも優しくて暖かい手が、あったんだ。
触れられる度に、もっともっと……と。
自ら触れてほしいと、思う……愛おしい手。
私はヴァロンの手を掴むと、チュッと彼の掌に口付けていた。
「!っ……」
ヴァロンは一瞬ビクッと身体を揺らして、呆然としていた。
っ……好き。
初めて、自分から相手を誘った。
ヴァロンの大きな掌に何度も口付けて……。
綺麗な長い指に、ゆっくりとなぞる様に舌を滑らせる。
「っ……!」
手を引っ込め様とするヴァロンの指を咥えて、口内でしゃぶるように舌を指に絡ませて……。
戸惑う彼を、悦ばせようとした。
……だって、他に知らないもの。
男を、楽しませる方法。
私の願いも虚しく、自宅に着いてしまった。
ヴァロンは真っ直ぐ私を私の部屋に連れて行くと、ベッドにそっと寝かせた。
……寂しい。
彼の温もりから離されて、切なくなる。
「ん~……ここ、どこぉ~?」
「家だよ、家。
あんたの部屋だろ、どう見ても!」
薄っすら目を開けて寝惚けたフリをする私。
まだ離れたくなくて、私は立ち上がろうとするヴァロンの腕を掴んで止めた。
「や~!行っちゃだめ~。
ヴァロン~、行かないで~……」
「はぁ?水取りに行くんだよ!
放せ、酔っ払い!」
行かないでっ……。
心の中で叫んで、私はヴァロンの腕に纏わり付いた。
「……ったく。
明日二日酔いになっても知らねぇからな」
優しい彼は、私を強引に振り払わなかった。
ベッドの端に座って、私をなだめるように傍に居てくれた。
胸が、キュンッとする。
「……。
なんか、あったのか?」
ヴァロンが、私の頭を優しく撫でてくれた。
あんなに嫌いだった男の手。
触れられる度に嫌だと思った男の手。
……でも、全然違う。
こんなにも優しくて暖かい手が、あったんだ。
触れられる度に、もっともっと……と。
自ら触れてほしいと、思う……愛おしい手。
私はヴァロンの手を掴むと、チュッと彼の掌に口付けていた。
「!っ……」
ヴァロンは一瞬ビクッと身体を揺らして、呆然としていた。
っ……好き。
初めて、自分から相手を誘った。
ヴァロンの大きな掌に何度も口付けて……。
綺麗な長い指に、ゆっくりとなぞる様に舌を滑らせる。
「っ……!」
手を引っ込め様とするヴァロンの指を咥えて、口内でしゃぶるように舌を指に絡ませて……。
戸惑う彼を、悦ばせようとした。
……だって、他に知らないもの。
男を、楽しませる方法。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる