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第1章(3)紫夕side
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しおりを挟むその様子には、ずっと気になっていた。
元気になる為に必要だとは言え、雪の検査時間いつも長くねぇか?
それに、もうだいぶ肩の怪我も良くなってる感じなのにまだ退院出来ないのかよ?
雪が医療施設に入ってかれこれ二週間以上過ぎた。
俺は医者じゃないから詳しい事は分からなかったが、そろそろ保護施設に移って通院でもいい頃だと思し、やはりいくら個室とは言え病室って空間は気を参らせてしまう気がして早くここから出してやりたい。
だが、担当医師の許可がない以上、さすがの俺も勝手に退院させる訳にもいかない。
そこで俺は、次の休みの日に散歩にでも連れ出してやろうと企んでいた。
……でも、…………。
「ーー……雪?何してんだ?」
朝、俺が病室に行くと、雪はお気に入りの場所には居なくて、部屋に付いている洗面所に居た。よく見ると、水を出しっぱなしにして、洗面所で俺がやったブランケットを洗っている。
でも、狭い洗面台でそれなりの大きさのあるブランケットを洗うのは無理があったようで、雪は袖や服の前部分をビシャビシャにして、床にも水がたくさん飛んでいた。
「ああっ、コラコラ!
やめろやめろ、ビシャビシャじゃねぇか」
慌てて駆け寄って、俺は蛇口を捻って水道の水を止めた。辺りを見渡して手を拭く用のタオルを見付けると、とりあえずそれを手に取って雪の濡れた袖口や服を拭いてやる。すると、その時……。
「……れ、……ちゃ……た」
「!っ、……え?」
「よごれ……ちゃった」
「……雪、っ」
雪が、喋った……?!
それは、助けたあの日以来初めて聞いた雪の声だった。
俺は、それが嬉しくて嬉しくて……。内容なんてどうでもいい、って位に嬉しくて舞い上がった。
「っ、……いいよ!全然いい!
これは俺が洗ってやるし、なんなら新しいの買ってやるから心配すんな!」
ニヤけそうなのを抑えて、抱き締めたい衝動を堪えて、ホント、バカみたいに喜んでた。
伏し目がちで目を合わせない雪を、ブランケットを汚した事に罪悪感を持っているからだと勘違いしてしまう程に……、……。
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