25 / 589
第1章(4)紫夕side
1-4-2
しおりを挟む「アタシ、言ったわよね?
「雪ちゃんは難しい子だから、紫夕ちゃんには無理。中途半端な優しさは傷付けるだけだからやめなさい」って」
「……っ」
……やっぱり、ダメ、か?
相変わらず手厳しいマリィの言葉に、俺は思わず肩を竦める。
けど、そんな俺にマリィが言った。
「……でも。……。
それでも、紫夕ちゃんは雪ちゃんに会いに行った。それは何故?」
「!っ、……へ?」
何故ーー?
そう尋ねられて、俺は改めて今日までの自分を思い返した。
初めて会った時は、生きる事を諦めてる雪が許せなくて……。でも、アイツが生きる事に絶望してる本当の理由を知って、気になった。
何とかしてやりたくて、雪の事が頭から離れくて……。会ってない時でも、アイツの事ばかり考えている自分がいたんだ。
そうだ、俺はーー……。
「雪に、会いたくなるんだ」
「!……え?」
「確かに初めは、何とかしてやりたかった。雪の為に、自分が何か力になれる事があったらいいな、って……思った。
けど、今は……、……ただ、俺が会いたかったんだ」
俺が会いたかったーー。
そうだ。
それが、俺の素直な気持ち。
会いたくなって、会うと嬉しくて、雪の新たな一面を見る度に、知る度に、自分の事みたいに胸が弾んだ。……そう、なんだ。
「俺が、雪と一緒に居たいんだ」
俺がそう言って見つめると、目を見開いたマリィがまた呆然としながら口を開く。
「し、紫夕ちゃん、貴方……。そう言ってる自分が、何でか分かってる?」
「あ?……何でか???」
「貴方、今ものっすごい事言ってるのよ?
……え?っ、え?……ホントに?!ホントに無自覚でそう言ってるって言うの?!!」
「?……は???」
その後も「嘘でしょっ?!」ってマリィは暫く悶絶するようにしていたが、呼吸を整えて、再び咳払いをすると姿勢を正して俺を見た。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる