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第5章(3)紫夕side
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***
けど、その後も気になった俺はついつい色々な事を考えてしまっていた。
朝日は実は橘の味方じゃねぇのか。とか、朝日は俺に何を伝えようとしてたのか?とか……。
そんな状態で、慣れない料理をした結果。
「しゆ~!おうどん"ぶちぶち"~すくえない」
「ああーっ!ごめんな~サクヤ!」
お利口に食卓に着いて、お碗に入れてやったうどんをフォークで食べようとしていたサクヤにそう言われて、俺は頭を下げて謝る。
今夜の献立はサクヤが食べたがっていたうどん。
しかし、俺が考え込んでいる間に時間が過ぎ、長く茹でてしまった為にすっかり柔らかくなったうどんは、サクヤの言う通り「ぶちぶち」。細切れになった麺は、フォークに上手く引っ掛からなくて実に食べにくそうだ。
「ほんっと、ごめん!こんなの美味くねぇよな……」
「だいじょうぶ、たべれるよー!」
でも。謝る俺に、サクヤはそう言ってお碗に口をつけると、フォークで口にかき込み出した。(お行儀が悪い、って言われそうな食い方だけど、今回は俺が悪いから許してやってくれ)
そして、あっという間に入れてやったうどんを平らげると、笑顔で俺にお椀を差し出す。
「おかわりー!」
「サクヤ……。いいんだぞ、無理しなくて」
「おいしいもん!もっとたべるー!」
「っ、サクヤ~……」
なんて良い子なんだーー!!
俺はそのサクヤの優しくて可愛い言葉と行動にジ~ン!と胸を打たれて、もう泣きそうだった。
菜箸では掴めないから鍋のうどんをオタマですくってお碗に入れてやり、サクヤにお替りをやった後、「見た目がこんなんでも実は美味いのか?」と、自分も食べてみる。
……が、やはり美味しくない。
と言うか、自分がこれまで食べてきたうどんとは違い過ぎて"ある事"を痛感した。
「雪は、すごかったんだな……」
思わず、そう呟いていた。
けど、その後も気になった俺はついつい色々な事を考えてしまっていた。
朝日は実は橘の味方じゃねぇのか。とか、朝日は俺に何を伝えようとしてたのか?とか……。
そんな状態で、慣れない料理をした結果。
「しゆ~!おうどん"ぶちぶち"~すくえない」
「ああーっ!ごめんな~サクヤ!」
お利口に食卓に着いて、お碗に入れてやったうどんをフォークで食べようとしていたサクヤにそう言われて、俺は頭を下げて謝る。
今夜の献立はサクヤが食べたがっていたうどん。
しかし、俺が考え込んでいる間に時間が過ぎ、長く茹でてしまった為にすっかり柔らかくなったうどんは、サクヤの言う通り「ぶちぶち」。細切れになった麺は、フォークに上手く引っ掛からなくて実に食べにくそうだ。
「ほんっと、ごめん!こんなの美味くねぇよな……」
「だいじょうぶ、たべれるよー!」
でも。謝る俺に、サクヤはそう言ってお碗に口をつけると、フォークで口にかき込み出した。(お行儀が悪い、って言われそうな食い方だけど、今回は俺が悪いから許してやってくれ)
そして、あっという間に入れてやったうどんを平らげると、笑顔で俺にお椀を差し出す。
「おかわりー!」
「サクヤ……。いいんだぞ、無理しなくて」
「おいしいもん!もっとたべるー!」
「っ、サクヤ~……」
なんて良い子なんだーー!!
俺はそのサクヤの優しくて可愛い言葉と行動にジ~ン!と胸を打たれて、もう泣きそうだった。
菜箸では掴めないから鍋のうどんをオタマですくってお碗に入れてやり、サクヤにお替りをやった後、「見た目がこんなんでも実は美味いのか?」と、自分も食べてみる。
……が、やはり美味しくない。
と言うか、自分がこれまで食べてきたうどんとは違い過ぎて"ある事"を痛感した。
「雪は、すごかったんだな……」
思わず、そう呟いていた。
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