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第11章(3)雪side
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しおりを挟む「やらしいな~雪は。あんなにしてやったのに、まだ足りなかったか?」
「ち、ちがっ……~~ッ」
紫夕の言葉に真っ赤になりながらも。違う、と口にしながらも、紫夕に抱き締められて、素肌と素肌が触れ合えばまた欲は湧き上がってくる。
足りない。
いや、尽きない、と言う言葉の方が正しい。
「っ~~……エ、エッチは暫く大丈夫。
でも、もっとギュッて、して?あと、キスして……イチャイチャ、は、したい」
だから、オレはそう素直な気持ちを口にした。恥ずかしくて死にそうだけど、頑張って伝えた。
すると、紫夕は……。
「……。雪」
「ん?」
「悪い、ティッシュかタオル取ってくれ」
「!っ、は、鼻血?!大丈夫っ?紫夕っ」
今まで見た事がない程に、両鼻から鼻出血した。
オレにはよく分からないが、紫夕曰くクリティカルヒットが入ったらしい。
……
…………その後。
紫夕の鼻血が止まってから一緒に川で身体を洗って、着替えて、キャンプセットで簡単に朝ご飯を作って食べた。
たいした物は作れなかったけど、昨日喧嘩別れしてから紫夕は何も食べていなかったみたいで、「めっちゃお腹空いた~」って、オレの作ったご飯を美味しそうにパクパク食べてくれた。
やっぱり、嬉しいなぁ。
引き取られた当初、家で待っているだけで何も出来ず、紫夕の為に何か出来る事がないかと思ってマリィに教わりながら覚えた料理。
だから、紫夕に笑顔でたくさん食べてもらえると、すごくすごく嬉しいんだ。
つい食べる手を止めてじっと見つめてしまうと、その視線に気付いた紫夕が微笑んでくれる。それを見て、また嬉しくなってオレも微笑って、二人で微笑み合う。
この幸せが、ずっと続いてほしいーー……。
すごく優しくて、暖かい朝だった。
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