スノウ2

☆リサーナ☆

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第13章(3)雪side

13-3-2

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「……。紫夕しゆう……」

オレは、手を降ろして、髪を切るのをやめた。
すると、その直後にお腹が鳴る。
それは、また、もうすぐ魔物の心に変わってしまう時の合図。

「服、着なきゃ……」

オレは、川から上がると服を着て、その時を待った。
獲物を見付けて、スイッチが入ったら、オレの意識はなくなってしまう。
どんなに足掻こうとしても止められないのなら、もう、身を任せる事にしていた。

でも、その時ーー……。

「ーー……ゅ……き。……ゆ……き!」

!!ーー……っ、え?

耳に届いたその声に、オレは咄嗟に反応した。

今の、声……、……っ。

耳を疑う。自分の弱い心が生み出した幻聴かも知れない、と思う程に、まだ遠くからの、小さな声だ。
けど、聞き間違える筈がなかった。「ゆきゆき」って、自分の誰よりも愛おしい人が呼んでいる。

っ、う……そ、…………。

呼び覚まされるかのような感覚。
まるで冷え切っていた心に明かりが灯ったように、じんわりと暖かくなる。

捜しに、来てくれた?
迎えに、来てくれた?
紫夕しゆうが、来てくれた?

涙が、頬を伝った。

会い、たい……。
会いたいっ……会いたい!紫夕しゆうーー……ッ!!

ーー……でも。
その場を駆け出した足を、オレはすぐに止めた。

だから、何?
行って、どうなるの?
紫夕しゆうに会って、どうするの?

俯いて、拳をギュッと握り締める。

また、紫夕しゆうを苦しめるの?
自由にしてあげるんじゃ、なかったの?
結局また、紫夕しゆうに甘えるの?

オレは、ゆっくり声のする方に背を向けた。

もし、紫夕しゆうに会って、意識が飛んだら?
オレは、紫夕しゆうを喰い殺してしまうかも知れないーー……っ。

そして、紫夕しゆうがいる方向とは真逆の方向へ、走り出した。

……
…………会う訳には、いかなかった。
会っていい筈が、なかった。

それから、オレは何日も……紫夕しゆうを避け続けた。

……
…………。
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