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第13章(5)雪side
13-5-2
しおりを挟むしかし、止まない霧雨を浴び続けた身体に、濡れた服が張り付いて生温く重い。
なかなか収まらない動悸。息苦しい呼吸。走り回ったせいで暴れた内部がグルグルと回った。
!!っーー……吐く、ッ。
そう感じて地面に蹲った直後。昨夜食べた物が全て胃から絞り上げられたかのような勢いで嘔吐した。
地面に飛び散る、まだ消化途中だった胃内の物。
血の気が、引いたーー。
身体が熱いのに寒気がして、手も、足も、身体も……。そして、自分が吐き出した物を目の前にしたら、心もガタガタと震えた。
「……っ、は……はは…………ッ。
こんな物食べてる、って知ったら……引く、よね……?っ」
今まで、魔物の心の間の事は記憶がなかったから、僅かな希望を抱きたかった。
自分は、普通に食事をしていただけだ、ってーー……。
でも今、自らが吐き出した物は、決して人間は口にしないような物。
それを目にして、ようやく思った。
ああ、オレは、化け物だ、ってーー……。
そう、目の当たりにして。
必死に必死に掴んでいようとした、人としての部分が奪われたみたいに、なくなった。
そして、何かがプツンッて、オレの中で、切れたんだ。
……
ーー……なら、どうする?
人じゃなく、化け物なら……オレは、どうするべき?
「……。
オレが、全てを……終わらせよう」
オレはそう決めて、手で口元を拭うとゆっくり立ち上がった。
一歩、また一歩、進んで行く。
フラつきながらも目指すのは、さっきまで求めていた紫夕の元ではなく海斗の元。
もう、夢も、希望も、未来を抱くのも。幸せな妄想を想い描くのも、やめた。
現実を見て、今の自分が出来る事だけを考えた。
オレが居る限り、橘さんの企みは終わらない。
どんどん、どんどん、新たな人を巻き込んで、その歪んだ野望が広がっていくんだーー。
なら……。
それを断ち切るなら、方法は一つしかない。
そう思った。けど、それならば……。
せめてオレの最期は、大切な人と、親友の為に使いたいーー……。
「……、……久しぶり、海斗」
「!……、っ……ゆ、き?」
オレが茂みから姿を現すと、海斗は驚いて目を見開いていた。
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