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第13章(5)雪side
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しおりを挟む驚く意味は、きっとたくさんあるよね?
死んだと思っていたオレが生きてる事。
髪が伸びて容姿も違うし……。何よりも、こんなに汚れてボロボロの姿じゃ、ね。
驚く海斗の周りで、一緒に居た守護神の隊員達は瞬時にオレに向かって魔器を構えた。
それにハッとした海斗が声を上げる。
「!っ、お前達!何やってるんだよっ?!」
「っ、はぁ?!決まってんだろッ?」
「目的の人型魔物が現れたのに、それを討たない選択肢があるかッ……!!」
他の隊員にそう言われた海斗は、瞬きもせずにもう一度オレを見てきた。
明らかに緊張ではなく顔を青白くさせて、小刻みに震えて、苦笑いしながら呟く。
「……っ、……違うよ」
「は?海斗、お前何言って……」
「違う……ッ、違う…………!
あれは……。っ……あれ、は……雪、だっ……!」
ーー……その言葉が、どれだけ嬉しかったか。
……
…………だからこそ、迷いが、なくなった。
首を振った海斗の目から飛んだ涙を見て、オレは口を開いた。
「なんだ、もうバレてるのか」
そう言った直後に、オレは海斗達の辺りに自らの力で造り出した無数の氷の矢を放った。
本気で当てるつもりはないけど、オレの攻撃に驚いた隊員達は各々の魔器で氷の矢を弾く。その姿を目をにしてオレは笑うと、言葉を続けた。
「紫夕の事は、最後まで騙せたのになぁ~。
あの人はオレを目覚めさせてくれただけじゃなくて、その後も利用されてるとも知らずに尽くしてくれたよ。
あ~おかしかった!今思い出しても、笑いが止まらないよ!」
そう言って、オレは笑い続けた。
すると、それを聞いた隊員達が騒つき始める。
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