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第13章(5)雪side
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しおりを挟む「っ、やっぱり!紫夕さんはコイツに騙されてたんだッ……!!」
「おかしいと思ったんだよ!第1隊長が急に守護神を辞めた、なんて!!」
「全てはコイツだ!!
真白 雪……っ、いや!人型魔物が、全ての元凶だったんだッ!!」
その隊長達の言葉を聞いて、無事に一つ目の目的を達成出来たオレはホッとしていた。
これで、大丈夫。
紫夕は人望が厚いから、きっとすぐに疑いは晴れて元の生活に戻れるーー……。
そしてオレは、もう一つの最期の目的に向かって動き出す。
オレは再び氷の矢を造り出すと海斗に向かって放ち、彼の頬に掠めさせた。
「……さぁ。来いよ、海斗」
そう言うと、傷付いた頬から流れ出た血を拭った海斗が……。俯いて、瞬海を握る手に力を込めた。
オレは、もう少し、と。背中を押すように言う。
「お前の下手な狙撃でオレを撃てる?
さぁ!遊ぼう!命を賭けたゲームをオレとしようよッ!!」
「ーー……っ、ぅぁあああーー……ッ!!」
すると。オレの笑い声をかき消すように声を上げた海斗が、こっちに向かって瞬海の弾丸を放った。
ーー……うん。
それでいいよ、海斗。
最初の弾丸はオレに当たる事なく、近くの木に当たって爆発した。
その木が倒れ、ぶつかった木が倒れ、一瞬遮られる視界。でも、次にハッキリとオレの瞳に映る海斗は、その目にしっかりと目的を定めていた。
その眼差しを見つめ返しながら、オレは思う。
どうせなら、この任務が海斗の手柄になって……出世、してほしいな。
海斗は以前に言っていた。
「強くなって、出世して、立派になりたい!
そんで、杏華さんと結婚したいんだ!」……って。
オレ、海斗は良い先輩にも、隊長にもなれると思う。
優しくて、あったかくて、きっと紫夕みたいな存在にいつかなれると思う。
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