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第14章(2)紫夕side
14-2-2
しおりを挟む何故だーー……?
一瞬で、雪の雰囲気が変わった気がしたんだ。
ついさっき、俺に襲いかかって来ていた時は確かに殺気に溢れていたと言うのに……。今の雪は、そう、ただ、俺を威嚇してるだけ。
倒れた際にぶつけたのか、それとも魔器でやられた傷がまだ痛むのか分からないが、自分の腹を抱えて俺に唸り声を上げる雪が……。俺には、ただ、怯えているだけのように映ったんだ。
「……、……雪?」
「っ、ガアッ……!!」
けど、手を伸ばそうとすればその手に喰いつこうとしてきて、相変わらず近寄らせてはくれそうにない。
どうしたもんか?と、後退りすると、その際に床に置いたままになっていた買い物の荷物が当たり、ガサッと袋が音を立てた。
……そうだ、肉!
この肉をやれば、もしかしてっ……!
先程買ってきた肉の存在を思い出して、俺はピンッときた。
雪はずっと飲まず食わずで眠ったままだった。それに、さっき自分に襲いかかってきた様子を見ても、空腹状態である事に間違いはない。
だから、その状態が満たされれば、雪は正気を取り戻すかも、って思ったんだ。
そんな事で雪が元に戻る根拠はなければ、ましてや今の雪が心を開いてくれるかも分からない。
でも、俺はなんとか今の状態を落ち着けてやりたくて、骨付き肉を取り出すと雪に向かって差し出した。
「雪?
ホラ、肉だ。腹、減ってるだろ?」
俺が肉を見せながら声を掛けると、唸り声はすぐに止んだ。
そして、目の前の肉をじっと見つめていた雪はクンクンッと匂いを嗅ぐように鼻を動かした後、口の端からヨダレを溢れさせる。
予想通りだった。
やがてヨダレは止まる事なく口全体からダラダラと溢れてきて、床にポタポタと滴り落ち程で……。極度の空腹状態だった事が分かる。
俺は、骨付き肉をすぐ側の床に放ってやった。すると、サッと瞬時に雪はその肉に喰いついて確保すると、すぐに俺を睨むとまた威嚇の唸り声を上げ始めた。
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