スノウ2

☆リサーナ☆

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第14章(3)紫夕side

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***

それから、どれだけ意識を手放していたんだろうーー……?

ようやく手にした幸福を手放したくなくて、もう一度ぎゅっと力を込めた瞬間。俺は、目を覚ました。

ーー……っ、え?

しかし。
目を開けた俺は、まるでまだ夢を見ているかのような現実に目を疑う。何故なら……。

っ……ゆ、き?

信じられない。
夢かと思っていた温もりは現実で……。なんと、ゆきが、俺の腕の中にいたのだ。

……、……え?
これ、は……どういう、状況、だ?

何が起こったのか分からない。
何とか冷静に、自分の記憶を探るが……。具合が悪くて横になってからの記憶が、俺はハッキリしていなかった。

……もしかして、…………。
元に、戻った……のか?

俺に寄り添って、腕の中で「すーすー」と寝息を立てるゆきの姿に、そんな期待が湧き上がる。
ゴクッと唾を飲み込んで、そっと、ゆきの頭を撫でた。すると、ピクッと反応したゆきは薄っすらと目を開いて、ゆっくりと猫のように伸びをしながら欠伸をして……俺を見た。

「……っ、ゆき?」

名前を呼ぶ俺を見つめる瞳には、水色の瞳の周りに紅い輪郭が出来ていて……。それは、まだゆきか魔物状態の証だった。
けど、その瞳を見て気を落としかけた時だった。俺の頬に、まるでペロリッと犬に舐められたかのようなくすぐったい感覚が走る。
驚いて俯きかけた顔を上げると、ゆきが首を傾げた。
その表情にも様子にも殺気や威嚇を感じない。
俺がもう一度触れてみようと手を伸ばすと、その手に自ら顔を寄せてきたゆきはクンクンと匂いを嗅いだ後に、まるで犬や猫が甘えるように顔を擦り寄せてきた。

俺が、分かるのかーー?

そう問いたかったが、きっと違う。
けど、これは紛れもなく俺に甘えているようにしか見えなくて……。

俺に、心を開いたーー……?

そう思った俺が、ハッとして自分の身体を見た瞬間。俺はそれが気のせいでない事を実感した。
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