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第14章(3)紫夕side
14-3-4
しおりを挟むボヤける視野に映る、暗闇の中で光る紅い瞳。
不思議と、不気味に見えなかった。それどころか、……。
「……きれ、い……だな」
触れたくなって、俺は重い手を持ち上げて雪の頬に触れた。
すると、その腕を雪がカブリッと噛んで、俺をズルズルと引っ張り始める。
……ああ、そっか。
今の俺は、雪からしたら喰いもん、だよな。
目の前で弱っている獲物なんて、肉食の魔物にしたら格好の餌食だろう。
自分の最期、なんて考えた事なかったが、雪に喰われるなら……。それでも、いいかとも思った。
あ、でも……。
俺が死んだら、雪はどうなるんだーー……?
そんな想いが、頭に浮かんだ。
元の雪に戻れたらいい。
けど、今の、魔物の状態の雪が野放しになったら……。いっその事、スノーフォールの姿になってしまえばまた話は別かも知れないが、今の人間とも魔物とも言い難い中途半端な姿では何かと不便だし、守護神に追われて狩られるのが目に見えていた。
……、……死ね、ねぇ。
まだ、死ね……ねぇ、よ…………っ。…………。
まだ、死ねないーー……。
そう思ったが。
さすがに身体が言う事を聞いてくれる筈もなく、俺の意識は遠のいていった。
……
…………。
俺は、夢を見た。
夢の中では、毎日忙しいながらも守護神の隊員としてそれなりに楽しく暮らしていた日々に戻っていた。
杏華に海斗、マリィも居て……。雪も、紫雪を抱いて嬉しそうに微笑ってる。
「紫夕、大好きだよっ」
そう言って、俺の傍に居てくれるんだ。
……ああ。
あったけぇな、雪は……、……。
そんな雪を抱き締めたら、じんわりと温もりが広がって……。俺は幸せに包まれた。
……
…………。
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