スノウ2

☆リサーナ☆

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第16章(1)雪side

16-1-2

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ベッドで脚を伸ばして、フカフカの布団で優しく包まれながら眠るのは久々だった。
薄いレースのカーテンでは遮れない程に部屋を明るくする陽射しから、今日はとても良い天気だと言う事が分かる。

ここは森の中にある、丸太で造られたログハウス。
紫夕しゆうに聞いた話。近くの町の町長さんがコテージとして建てた物で、自分の子供達が幼い頃はここでキャンプしたりして利用していたらしい。
そして、その子供達が成長して自分達があまり利用しなくなった今では、別の地方から来た人に宿泊施設として貸し出しているんだとか。

……なんか。まだ、夢みたい。

魔器マギで撃たれて、崖から落ちて川に叩きつけられたあの時は……もう、駄目だと思った。
それなのに今生きている自分は、やはり化け物なんだ。……でも。

「ただい……ーーっ!
おい、ゆき!まだ寝てなきゃダメだろうっ?」

上半身を起こして、ベッドから出ようとしたタイミングで玄関の扉がガチャッと開き、買い出しを終えて戻った、買い物袋を抱えた紫夕しゆうに怒られる。

「おかえりなさい。
そんなに心配しなくても、もう大丈夫だよ?」

ベッドに座ったまま微笑んでそう言ったけど、テーブルに荷物を置いた紫夕しゆうがすぐに歩み寄って来て、オレの額に自分の額を合わせて溜め息を吐く。

「ダメだ、まだ熱があるじゃねぇか。もう暫くゆっくり寝てろ」

「……はぁ~い」

ベッドから抜け出せなかった事を少し残念に思いながらも、オレの身体をゆっくり横にしてくれて布団を掛けてくれた後、頭を優しく撫でてくれる紫夕しゆうの行動に胸が暖かくなる。

どうしよう……。
オレ、幸せだ。

魔物なのに。
化け物なのに。
紫夕しゆうの傍に居ちゃ駄目だ、って思うのに……。この幸せを前にしたら、抗えない。
紫夕しゆうを愛してる、って気持ちが溢れて、自分の気持ちに嘘がつけない。
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