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第16章(1)雪side
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しおりを挟むこのまま、ずっと一緒に居たいーー……。
そんな気持ちと一緒に溢れてしまいそうな涙を、オレは必死で堪えた。
「今日は色々買ってきたぞ~。
スイカに巨峰に桃!どれも旬で美味い、ってさ。雪、どれ食いたい?」
「っ、……そ、そんなに買って来て……。た、高かったでしょ?」
「バーカ!そんな事気にすんな。
美味いもん食って、栄養摂って、早く元気になってくれよ」
明るい大好きな声が弾んでる。
買い物袋から出した品物を片付けながらそう笑顔で言ってくれる紫夕が、カッコ良過ぎて、眩しくて……。また好きになってしまう。
ごめんね、紫夕。
オレ、今、
生きてて、良かったーー……。
って。そう、思っちゃった。
もう、堪え切れなかった。
涙がボロボロ出てきて、オレは隠す為にガバッと掛け布団を被った。
「!っ、ゆ、雪?どうしたっ?」
「な、っ……何でもないっ」
「何でもない訳ないだろうが!出てこいっ!」
「っ、や……やだ!見ないでッ……!」
必死に抵抗するが、オレの力で紫夕に敵う訳がない。
被っていた布団はあっという間に奪われて、涙でぐしゃぐしゃの顔を紫夕に見られてしまった。
さ、最悪……っ。
鼻水まで出てくるし、この涙の理由を聞かれても上手く誤魔化せる自信なんてない。
まともに目が合わせられなくて、鼻をすすりながら戸惑っていると、そんなオレをベッドに座った紫夕がギュッと抱き締めてくれた。
そして、紫夕は何も聞かない。ただ抱き締めて、傍に居てくれている。
っ、紫夕……!
大好きな温もりと匂いに包まれて、嬉しくて、幸せで……。手放したくない、って気持ちが行動に表れてしまう。
オレは背中に手を回して、ギュッと紫夕に抱きついた。
すると、紫夕がボソッと呟く。
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