スノウ2

☆リサーナ☆

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第16章(3)雪side

16-3-1

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泣いていた女の子も、女の子を慰めていた男の子も。声を掛けたオレに驚いたように、瞬きもせずに見つめていた。
でも、オレはただただ心配で、女の子の側まで行くと転んで出来た膝の傷の状態を確認する。幸い、傷は大した事がなさそうで、表面を擦り剥いていただけ。
それを見てホッとすると、オレはついつい安心から微笑んで言った。

「良かった。これなら消毒すれば大丈夫そうだね?
今、救急箱を取ってくるから、少し待ってて」

そう言って、一旦コテージの中に戻ろうとオレが背を向けると……。服の裾をクンッと、優しい力で引かれた。

「ーー……ようせい、さん?」

「っ、え?」

「おねえさん……ようせいさん、なの?」

服を引かれて振り返ったオレに、女の子が言った。

妖精さん。
お姉さん。

その言葉に、色んな意味で戸惑った。
オレは妖精でも人間でもなく、かと言って魔物と言うにも中途半端で……。そんな事、言えない。それに、お姉さん、でもない。
どう、答えようか悩んでいると、男の子も目を輝かせてオレの事を見上げていた。

とりあえず、妖精じゃない、って誤解を解かなきゃ……。

「っ、……ご、ごめんね?妖精じゃ、ないんだ」

「ちがうの?」

「う、うん」

「じゃあ、おなまえはー?」

「え?」

「おねえさん、おなまえなんていうのー?」

「っ、……」

ひとまず、妖精でない事は受け入れてもらえたようだが……。男の子と女の子のキラキラした瞳。
お姉さん、である事を否定したら、何だかこの純粋な瞳が変わってしまう気がして……。オレは、嘘をついて話を合わせる事にした。

「……サクラ」

「!……さくら?」

「うん、サクラって、言うんだ」

紫夕しゆうが旅先で自分の父親である「三月みづき」と名乗っていたように、オレは自分の母親である「サクラ」って子供達に名乗った。
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