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第18章(3)雪side
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しおりを挟む「スノーフォールがどう言う種族か、君は知ってるかい?」
コツッ、コツッ……と鳴る靴の音。
話しながら、風磨さんが一歩、また一歩とオレに近付いてくる。
「最初からなのか。はたまた、絶滅を回避する為に進化を遂げたのかは分からないが、スノーフォールは雄であっても子孫を産み出せる、と最近分かったんだ」
「っ……」
「そして、その血を受け継ぐ君もーー……」
「ーーっ、来ないでッ……!!!!!」
咄嗟に自己防衛に出たオレは、持っていたリュックを思いっきり風磨さんに投げ付けた。
絶対に嫌だ……ッ。
絶対に嫌だ……!!!
絶対に、嫌だーー……ッ!!!!!
紫夕を拒絶した時とは全く違う感情で、オレは心の奥底から嫌悪感を抱いた。
お腹の赤ちゃんを護る事よりも、自分が紫夕以外の誰かに抱かれる事をオレは心の奥底から拒絶していた。
リュックは激しい音を立てて、風磨さんの顔面に当たった。
でも、そんなオレの抵抗を"無駄だ"と、嘲笑う。リュックの金具で切れた額の傷などお構いなしに、風磨さんはオレの腕を掴むとベッドに放り投げた。
すぐに身を起こして逃げようとしても、すぐ様掴まれて……。いとも簡単に、上に跨がれて両手を押さえ付けられて、動きを封じられてしまう。
その際に、昨夜紫夕にもキツく握られていた手首が鈍く痛んだ。その傷みに見上げると、また"全然違う"と実感した。
昨夜自分を襲おうとした紫夕の瞳は何処か寂しそうで、悲しそうで、今思えば何故本当に、一瞬でも彼を怖いと思ってしまったのか分からなくなる程だった。
けど、今自分を押さえ付けて犯そうとしている人物の瞳は、好奇の瞳。オレにこうしている事を心から楽しんで、面白がっていた。
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