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第20章(4)紫夕side
20-4-8
しおりを挟むでも、雪は両手でそっと優しく、自分の下腹部に触れていた。
その姿を見て、俺はまた、考える。
……もし、…………。
もし本当に雪の中に子供が居るなら、俺はーー……。
するとその時。玄関の扉が再びノックされ、ハッとした俺と雪は、同時に扉をじっと見つめた。
「サクラさん、何度もごめんね?
お節介だとは思ったんだけど……。ドアノブに掛けておくから、これだけ受け取ってもらえないかい?」
声の主は亜希さん。
雪は扉を開けず、何も答えない。すると再び、亜希さんは話し出した。
「うちの息子の嫁もね、「子供が出来ない」って言われた時があったんだよ。
でも、無事に授かって、春来は生まれてきてくれた。
だから……。サクラさんが何で「子供が出来ない」って言ったのかは分からないけど、思い込みで諦めちゃいけないよ?」
その言葉の後に、カタンッて、ドアノブに何かを引っ掛ける音がした。
そして、「じゃあ、身体大切にしなさいね」って言って……。足音が、次第に遠ざかって行った。
亜希さんの気配が扉の前から消えると、雪は立ち上がって覗き穴から外の様子を確認していた。
そして、そっと扉を開けると、ドアノブに掛けられていたらしき手提げのビニール袋を持ってコテージ内に戻ってくる。
中に入っていたのはリンゴと、何やら横長の四角い箱。
?……それ、なんだ?
俺には、それが何なのかパッと見ただけでは分からなかった。
けれど、壁掛けの時計を見た雪は、何かを決意したようにその箱を開けて中身を取り出すと……。真っ直ぐにトイレへ向かって歩き出す。
その雪の表情は、さっきとは別人のように冷静になっていた。まるで、自分の中で悩んでいた事への答えが出たかのように……、……。
俺はテーブルの側に行き、トイレへ消えて行った雪が残していったその箱が何なのか、確認する。
箱に書いてあった名称は……。
妊娠、検査キットーー……?
ようやくそれが何なのか知り、俺はすぐに雪を追い駆けようとした。
が、すぐに思い留まり、途中で足を止めた俺は……待つ事にした。
気持ちを落ち着けて、戻って来た雪を自分がどう受け止めるのか……。どう受け止めたいのか、考える事にしたんだ。
……
…………。
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