58 / 85
第7章
7-2
しおりを挟む
***
まだ炎の国と水の国が今ほど仲が悪くなかった頃ーー。
ガーネットの父親のノクテ様は頻繁に炎の国を訪れ、この先の平和を願って跡継ぎである俺との友好を深めようと努力してくれていた。
親友、というよりは7歳年上だった彼は尊敬する兄のような存在。優しくて面倒見のいいノクテ様が俺は大好きで、一緒に剣の稽古をしたり、狩りに出掛けたりしていた。
次第に互いの国が不仲になっていった時も、俺達は個人的に連絡を取り合い信頼し、約束し合っていた。
"今は国同士が分かり合えなくても、いつか自分達が王になり国を治めるようになったら、共に手を取り合い平和な世界を創ろう"、とーー。
そんな、夢を見ていた。
……
…………でも。ある日事件が起こる。
18歳の誕生日。
俺は父親である現炎の国王に呼び出された。
父上の事は尊敬している。
炎の国をここまで豊かで、他国に恐れられる程強大にしたのは、父上だと言っても過言ではなかったから……。
やり方は賛同し難い時もあったが、この国の民にとって立派な国王である事に違いはない。
そんな父上からの呼び出し。
正直、嫌な予感がした。
……けれど。父上が言った言葉は、俺の待ちに待った言葉だった。
「水の国と同盟を結ぼうと思う。
その交渉をお前に任せよう、クウォン」
嬉しくて、嬉しくて……。
これで、ノクテ様と争わなくてすむのだと……。
願いが叶い、約束を果たせ、これからは一緒に歩んでいけるのだと喜んだ。
……馬鹿、だった。
父上がそんなに簡単に考えを変える人じゃないと、分かっていた筈だったのに……。
俺は若くて、未熟で……。
ただ嬉しさが暴走して、父上の言葉を信じてしまった。
数日後ーー。
水の国の持つ砦で、俺はノクテ様と交渉の場を設けていた。
ノクテ様もとても喜んでくれて、同盟の話を快く引き受けて下さって……。
全てが上手くいくと、思っていた時だった。
まだ炎の国と水の国が今ほど仲が悪くなかった頃ーー。
ガーネットの父親のノクテ様は頻繁に炎の国を訪れ、この先の平和を願って跡継ぎである俺との友好を深めようと努力してくれていた。
親友、というよりは7歳年上だった彼は尊敬する兄のような存在。優しくて面倒見のいいノクテ様が俺は大好きで、一緒に剣の稽古をしたり、狩りに出掛けたりしていた。
次第に互いの国が不仲になっていった時も、俺達は個人的に連絡を取り合い信頼し、約束し合っていた。
"今は国同士が分かり合えなくても、いつか自分達が王になり国を治めるようになったら、共に手を取り合い平和な世界を創ろう"、とーー。
そんな、夢を見ていた。
……
…………でも。ある日事件が起こる。
18歳の誕生日。
俺は父親である現炎の国王に呼び出された。
父上の事は尊敬している。
炎の国をここまで豊かで、他国に恐れられる程強大にしたのは、父上だと言っても過言ではなかったから……。
やり方は賛同し難い時もあったが、この国の民にとって立派な国王である事に違いはない。
そんな父上からの呼び出し。
正直、嫌な予感がした。
……けれど。父上が言った言葉は、俺の待ちに待った言葉だった。
「水の国と同盟を結ぼうと思う。
その交渉をお前に任せよう、クウォン」
嬉しくて、嬉しくて……。
これで、ノクテ様と争わなくてすむのだと……。
願いが叶い、約束を果たせ、これからは一緒に歩んでいけるのだと喜んだ。
……馬鹿、だった。
父上がそんなに簡単に考えを変える人じゃないと、分かっていた筈だったのに……。
俺は若くて、未熟で……。
ただ嬉しさが暴走して、父上の言葉を信じてしまった。
数日後ーー。
水の国の持つ砦で、俺はノクテ様と交渉の場を設けていた。
ノクテ様もとても喜んでくれて、同盟の話を快く引き受けて下さって……。
全てが上手くいくと、思っていた時だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる