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第9章
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しおりを挟む「……だが。
争いのない世を創る事は、みんなの夢。そしてそんな世を創る為には、私とてまだまだ役不足だ」
ヨシュア王の視線の先には、自分が命ずる前に動いてしまった自軍。
悲しそうな、後悔した瞳をしていた。
「……皆の怒りを抑える力。統率する力がないのは、私の方だ。
”憎しみは憎しみしか生まない”……。
そんな分かりきっていた事を、妹に教えられるとはな」
フッと笑うとヨシュア王は地面の剣を抜き、俺とガーネットを見つめる。
「我が国も一からやり直しだ。時間をかけ、私はきっと父上のように皆に慕われる王となる。
……その時まで。妹をそなたに預けよう、クウォン殿」
「!……。
よろしいの、ですか?お兄様。私がクウォンと共に生きても……!」
ヨシュア王の言葉に驚いて先に口を開いたのはガーネット。
また二人は暫く見つめ合って、ヨシュア王はクルッと馬の向きを変えて歩みだした。
「見せてもらおう。
水神に選ばれたお前が選んだ、男の器量を……。
そして。、お前が本当に我等を”深い絆”で結ぶ宝石になれるかを、な」
「っ……お兄、様」
それは間違いなく、10年前に途切れかけた夢が再び動き出した瞬間だった。
「っ……ありがとう、ございますっ!」
俺とガーネットは、自軍に向かって去って行くヨシュア王の背中に二人で深く頭を下げた。
……
…………その後。
ヨシュア王はグラン将軍と共に水の兵士達を鎮め、戦はひとまず停戦。
死亡者は0で、なんとか収まった。
勿論、俺達の戦いはこれで終わりではない。
むしろこれからで……。
俺達の夢見る世は、まだまだ遠い。
……でも、大丈夫。
独りじゃないから、歩いて行ける。
例えどんなにゆっくりでも、歩む事を止めなければ、確実に前に進んでいるのだから。
……
…………。
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