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第6章(1)ノゾミside
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しおりを挟む「ツバサ君とレノアちゃんは、私の夢なんです。
すごくないですか?どちらも幼い頃から互いを好きで、大切に想っていて、今も変わらないなんて……。
綺麗な恋。私には、絶対に出来ない」
7歳の事件で男が大嫌いになって……。
家族や友達以外で唯一心を許せると思った瞬空には、運命の女性がいて……。
可愛く、ヤキモチを妬く事も出来ない、可愛くない女。
「……ーーっ、ジャナフ君?」
苦笑いして俯いた頭をそっと撫でられて、ハッとした。視線を向けるとジャナフ君が、私よりも辛そうな表情を浮かべていたからだ。
何故ーー?
「すごく分かります。
ボクも、不特定多数の恋愛は嫌いです」
「え?」
「ドルゴア出身のボクが言っても、説得力がないと思いますけど……。ボクは、政略結婚や一夫多妻制を当たり前としている自分の国が嫌いです」
そう言ってジャナフ君は自分の首に掛かっていたロケットペンダントを外すと、中身の写真を見せてくれた。
そこに映っていたのは、セピア色の写真でも分かる長い黒髪に黒い瞳で、ジャナフ君のように少し肌が小麦色の美しい女性。
「ボクの、母です」
「綺麗な女性……」
「ありがとうございます。
でも、決して父の愛を1番にはもらえない、狭い塔に閉じ込められたままの……妾でした」
「!っ……」
衝撃の、一言だった。
言葉が出て来ない私に、ジャナフ君は話を続ける。
「ボクが物心ついて、7歳の時に母が死ぬまでに父が会いに来てくれたのは……何回だったかなぁ?」
指を折りながら語る途中で、その指はあまりにも少ない数でピタリと止まって……。ジャナフ君は、じっと見ていた私に無邪気に微笑った。
「忘れちゃった!
……。そんな愛なら、くれなくて良かったのにね?」
「……っ!」
今の私の気持ちを分かった上で話してくれたジャナフ君に堪らなくなって、私は気付いたら彼を抱き締めていた。
恋とか愛ではなく、多分私と彼は今互いの気持ちが1番に分かり合える理解者に違いなかった。
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