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第14章(6)アカリside
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突然キスされた。
ポケ電を奪われて、勝手に連絡先を登録された。
意地悪で、強引で、私の気持ちを掻き乱してばかりで、大嫌い。
「ーーなんのご用ですかっ?」
お祖父様の本邸から帰宅した数日後。
アラン様はまた私の元へやって来た。
「別に、コーヒーを飲みに来ただけだ。
……客ならば、問題あるまい?」
「ッ~~……ご、ご注文は?」
パート中、勤め先のパン屋さんにお客として来られたら拒絶する訳にも行かない。
しぶしぶ接客をし、最低限度の会話で済ませた。
ーーでも。
そんな日を何回か重ねたある日……。
「ーーなんでここに居るんですかっ?」
子供達を連れて中央広場に遊びに行くと、そこにアラン様が現れた。
「得意先から菓子を貰ったんだ。
前にも言っただろ?甘い物は苦手だから、お前達にやる」
そう言って渡された紙袋の中には、色んな種類の焼き菓子。
美味しそうだったが、敵から塩を貰う訳にはいかない。「いりません!」と、突っ返そうとした。
けど……。
「ママ~なにもらったの~?
あ!これ、ヒナのだいすきなやつだぁ~!」
無邪気なヒタナは紙袋の中を覗き込むと、大好きなマドレーヌを見つけて大はしゃぎ。
するとアラン様は、そんなヒナタに予想外の対応をした。
「そうか、それは良かった。たくさんあるから、色んな味食べてもいいぞ」
驚きのあまり言葉を失う。
アラン様は屈んで、ヒナタと視線を合わせて、優しく頭を撫でたのだ。
更に……。
「ほら、そっちの……ヒカル、だったか?弟にも分けてやれ」
「うんっ!ヒカル~いっしょにたべよ~」
アラン様に促されて、ヒナタは紙袋からヒカルの好きな味の焼き菓子を取りだして手渡すと、仲良く頬張りだした。
ヒカルは人見知りだ。
アラン様がもし直接手渡していたら、警戒して素直に受け取る事などしなかった。
それが、分かっていたの?
私の脚にしがみ付いているヒカルにも気付いて……。しかも、ヒナタにお菓子を渡させて、ヒカルが受け取りやすく仕向けたアラン様。
突然キスされた。
ポケ電を奪われて、勝手に連絡先を登録された。
意地悪で、強引で、私の気持ちを掻き乱してばかりで、大嫌い。
「ーーなんのご用ですかっ?」
お祖父様の本邸から帰宅した数日後。
アラン様はまた私の元へやって来た。
「別に、コーヒーを飲みに来ただけだ。
……客ならば、問題あるまい?」
「ッ~~……ご、ご注文は?」
パート中、勤め先のパン屋さんにお客として来られたら拒絶する訳にも行かない。
しぶしぶ接客をし、最低限度の会話で済ませた。
ーーでも。
そんな日を何回か重ねたある日……。
「ーーなんでここに居るんですかっ?」
子供達を連れて中央広場に遊びに行くと、そこにアラン様が現れた。
「得意先から菓子を貰ったんだ。
前にも言っただろ?甘い物は苦手だから、お前達にやる」
そう言って渡された紙袋の中には、色んな種類の焼き菓子。
美味しそうだったが、敵から塩を貰う訳にはいかない。「いりません!」と、突っ返そうとした。
けど……。
「ママ~なにもらったの~?
あ!これ、ヒナのだいすきなやつだぁ~!」
無邪気なヒタナは紙袋の中を覗き込むと、大好きなマドレーヌを見つけて大はしゃぎ。
するとアラン様は、そんなヒナタに予想外の対応をした。
「そうか、それは良かった。たくさんあるから、色んな味食べてもいいぞ」
驚きのあまり言葉を失う。
アラン様は屈んで、ヒナタと視線を合わせて、優しく頭を撫でたのだ。
更に……。
「ほら、そっちの……ヒカル、だったか?弟にも分けてやれ」
「うんっ!ヒカル~いっしょにたべよ~」
アラン様に促されて、ヒナタは紙袋からヒカルの好きな味の焼き菓子を取りだして手渡すと、仲良く頬張りだした。
ヒカルは人見知りだ。
アラン様がもし直接手渡していたら、警戒して素直に受け取る事などしなかった。
それが、分かっていたの?
私の脚にしがみ付いているヒカルにも気付いて……。しかも、ヒナタにお菓子を渡させて、ヒカルが受け取りやすく仕向けたアラン様。
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