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第17章(4)マオside
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……
…………。
使用人さんが部屋を出て行っても、僕は自分の服を手にしたまま立ち尽くしていた。
『あら。マオさん、その服……』
今朝、僕の服装を見たアカリさんの反応を思い出す。
『え?似合わない、なんてとんでもない!
素敵ですよ。とっても、お似合いです!』
アカリさんは、少し頬を赤らめながら微笑んで僕にそう言った。
普段自分では絶対に選ばない色合いだから、彼女が褒めてくれて嬉しかった。……なのに、……。
「旦那さんの服、か。何で気付かなかったんだろう……」
そうとも知らずに浮かれていた自分が、何だかとても虚しくて馬鹿だったと感じた。
胸がズキズキ痛み出して、同時にモヤモヤとした感情が心に纏わり付く。
姿も何も知らないのに、"アカリさんの旦那さん"の存在に、堪らなくイライラした。
「っ……!」
僕は着ていたセーターを脱いでベッドの上に放ると、すぐに自分の服に身を包んだ。
洗濯したての服は洗剤とお日様の匂いで心地良い筈なのに……。僕の心は、曇ってしまっていた。
***
「……。あ!マオさん!」
約束の時間になって廊下に出ると、何も知らないアカリさんは笑顔で僕を迎えてくれる。
大好きなパァッと輝く笑顔につられて微笑み返しそうになったがすぐにさっきの事を思い出して、僕は伏せるように目を逸らしてしまった。
彼女が悪い訳ではない、と。頭では分かっている。
過去なんて気にしても仕方ないし、第一僕が旦那さんの事をとやかく言う資格も立場でもない。
……けど、嫌なんだ。
アカリさんの大切な男性って思うだけで、モヤモヤする。
「?……マオさん。どうかしましたか?」
「なんでも、ありません……」
なんでもない、と答えながらも目を合わせようとしない僕のせいで、アカリさんとの間にシーンと沈黙の時が流れた。
今までこんな感情になった事、なかった。
自分でも、何故、何が、こんなに気に入らないのか分からない。
ミネアさんの過去の話を聞いても、言い寄ってくる男性の存在を知っても、"仕方ない"って感情が先に浮かんで……。こんなにも気になる事はなかった。
…………。
使用人さんが部屋を出て行っても、僕は自分の服を手にしたまま立ち尽くしていた。
『あら。マオさん、その服……』
今朝、僕の服装を見たアカリさんの反応を思い出す。
『え?似合わない、なんてとんでもない!
素敵ですよ。とっても、お似合いです!』
アカリさんは、少し頬を赤らめながら微笑んで僕にそう言った。
普段自分では絶対に選ばない色合いだから、彼女が褒めてくれて嬉しかった。……なのに、……。
「旦那さんの服、か。何で気付かなかったんだろう……」
そうとも知らずに浮かれていた自分が、何だかとても虚しくて馬鹿だったと感じた。
胸がズキズキ痛み出して、同時にモヤモヤとした感情が心に纏わり付く。
姿も何も知らないのに、"アカリさんの旦那さん"の存在に、堪らなくイライラした。
「っ……!」
僕は着ていたセーターを脱いでベッドの上に放ると、すぐに自分の服に身を包んだ。
洗濯したての服は洗剤とお日様の匂いで心地良い筈なのに……。僕の心は、曇ってしまっていた。
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「……。あ!マオさん!」
約束の時間になって廊下に出ると、何も知らないアカリさんは笑顔で僕を迎えてくれる。
大好きなパァッと輝く笑顔につられて微笑み返しそうになったがすぐにさっきの事を思い出して、僕は伏せるように目を逸らしてしまった。
彼女が悪い訳ではない、と。頭では分かっている。
過去なんて気にしても仕方ないし、第一僕が旦那さんの事をとやかく言う資格も立場でもない。
……けど、嫌なんだ。
アカリさんの大切な男性って思うだけで、モヤモヤする。
「?……マオさん。どうかしましたか?」
「なんでも、ありません……」
なんでもない、と答えながらも目を合わせようとしない僕のせいで、アカリさんとの間にシーンと沈黙の時が流れた。
今までこんな感情になった事、なかった。
自分でも、何故、何が、こんなに気に入らないのか分からない。
ミネアさんの過去の話を聞いても、言い寄ってくる男性の存在を知っても、"仕方ない"って感情が先に浮かんで……。こんなにも気になる事はなかった。
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