グレイ

第１章（１）紫愛side

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……
…………。

「ふぅ、ごちそうさま～！」

「はい、お粗末様でしたぁ～。
ふふっ、紫愛シアちゃん。今日も朝からいっぱい食べたわね。嬉しいわぁ～！」

「えへへ～。だって、マリィの料理美味し過ぎるんだもん！」

「……おま、そのちっさい身体の何処にそんなに入るんだよ」

1日の楽しみの一つである朝食が終わった。
私は今日も朝から絶好調。
身長158㎝で華奢な体型の私が、約6人分くらい用意されていたにも関わらず、空っぽにした炊飯器と空っぽにしたお味噌汁のお鍋を見て、パパは苦笑い。

私は子供の時から、とにかく食べる事が大好きだった。
用意された食事では足りず、オヤツを食べたにも関わらず足りず、常に誰かに強請って余分に貰っていた記憶しかない。
そんな時は、いつも決まって優しく自分の分を分けてくれる人が居たんだ。その人は……。

「ーー……あ！
そう言えば、兄貴にーにが帰って来るのって今日だよねっ？！」

食べ終わった食器を台所のシンクに置いた瞬間、思い出した私はそう声を弾ませた。

そう、私には5歳年上の兄貴にーにがいるんだ。
本名は望月もちづき 弥夜やよい。年齢は23歳。
守護神ガーディアン本部、特殊部隊の第１部隊の隊員の一人。魔器マギは、双剣ー響月きょうげつー。
兄貴にーにもママには似てなくて、私やパパと同じ黒髪に黒い瞳。
でも、身長は小柄な私と違って、なんと182㎝。よっぽど好きなのか、黒いロングコートばかり着ている。

もちろん兄貴にーにも人型魔物で、身体能力や五感がとても優れている。
更に頭も良いから、兄貴にーには守護神ガーディアンに入ってすぐに第１部隊に配属されて、今も前線で活躍中。尊敬する兄貴にーにだ。

でも、私が15歳になって守護神ガーディアンの隊員試験を受けた後くらいから、「寮で暮らす」って、突然この家を出て行っちゃったんだよね。
兄妹としてだけじゃなくて、同じ守護神ガーディアンの隊員としても、先輩後輩としても……色々話したいのに。