グレイ

第２章（３）紫愛side

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「っ、出来たぁ～～～！！」

翌朝。
兄貴にーにと約束したBETサンドが無事に完成した。
ベーコンはカリッと。玉子焼きは焦げてない。トマトもなるべく薄くスライスした。
そして、特製マヨネーズソースも兄貴にーにの教えを守ってしっかりと味付けした。

見た目も……。
うん！悪く、ないよねっ？

「ふふっ、上手に出来たわね！
すごく頑張ったわぁ～紫愛シアちゃん」

「ありがとう、マリィ！マリィが一緒に手伝ってくれたおかげだよぉ～！！」

人生初！と言うくらい素晴らしい出来栄えで完成した手料理に感動していると、朝からずっと付きっきりでサポートしてくれたマリィがパチパチと拍手しながら褒めてくれた。
そんなマリィに抱き付いて、私は精一杯の感謝と喜びを表す。
するとマリィが私の頭を撫でながら言った。

「アタシは何もしてない。紫愛シアちゃんの「作りたい！」って、強い想いがあったからこそよ？
よっぽど大切な人の為に作りたかったのね？もしかして、好きな人、かしら？」

「！っ、そ、そんなんじゃないよ……！！」

マリィのまさかの言葉に、私は顔を真っ赤にして思わず声を上げてしまった。
けど、相手が兄貴にーにである事を話したら、もしかしたらパパにバレてしまうかも知れない。
そんな想いから、私はマリィにも兄貴にーにの名前を出す事は出来なかった。
そのせいで、「ふふっ、大丈夫！紫夕しゆうちゃんには内緒にしておくから。ねっ？」って、マリィにパチッとウインクされしまう始末。

うぅ……っ、兄貴にーににあげるだけなのに～。

そう言いたい気持ちと恥ずかしい気持ちを我慢して、私は作ったBETサンドとマリィが昨夜作ってくれた唐揚げをお弁当箱に詰めていた。
すると、

「お？なんだ？今日は弁当まで作ってんのか？」

その声に、ギクリッとしてしまう。
パパだ。パパが起きて台所に来てしまった。
私はパッとパパの方を向くと、お弁当を自分の背中に隠すようにして微笑った。