グレイ

第２章（４）アレクside

2-4-5

でも、それにはオレも同感だ。
ちっこい身体で、パッと見はか弱そうな女の子なのに魔器マギを手に戦う紫愛シアの姿は、ホントに頼もしくてカッコ良い。

敵に背後を取られても、今度は紫桜しざくらをしなやかなムチに変えて縛るように捕え、それを思いっきり振り回して別の敵にぶつけて反撃する。
とっさの判断力が鋭いのは勿論だが、それを可能にする身軽さとバネのある身体。

ホント、すごくて惚れ惚れするーー。

だが。
オレは紫愛シアが"ある武器"を使って戦っている時が、1番良いな、って思うんだ。
その武器とはーー……。

「ーー……アレク、パトラ、お待たせ！
あとはケルベロスあいつだけ！一気に叩いちゃおう！！」

ビックウルフ型ロボットを全て片付けた紫愛シアはそう言うと、紫桜しざくらの型を双剣に変えてクルクルと振り回した後に両手で持って構えた。
その姿に、オレは笑みが溢れる。

そう、オレは紫愛シアが双剣を手に戦っている姿が1番良いと思うんだ。
何故か？って。
双剣が、紫愛シアの良さの全てを出し切れる最高の武器だからさ。

「おう！最短で片付けるぞ！！」

「フフッ、やっちゃいましょう！！」

返事をして、微笑み合って、オレとパトラもそれぞれ魔器マギを手に構える。
すると、それを見てケルベロス型ロボットも唸り声を上げて構え、戦闘態勢入った。

こちらに噛みつきに向かって来るケルベロス型ロボットをオレとパトラは左右に避け、紫愛シアはジャンプして飛び越えて避ける。
四方八方に避けられたケルベロス型ロボットは一瞬迷いはしたものの、オレに狙いターゲットを定めて今度は鋭い爪の手を大きく振り下ろしてきた。

ガッ！！ッキィーー……ンッ！！

オレは魔器アレク・ティアーでその手を受け止める。
するとそこに回転ターンして勢いをつけたパトラが、魔器パトラ・ロンドでケルベロス型ロボットの脇腹に鋭い突きをおみまい。