グレイ

第３章（３）春来side

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「まだ、少し早いか……」

時刻は12時20分。
腕時計で時間を確認して、俺は守護神ガーディアン本部の敷地内をブラブラと歩いていた。

昨日まで遠征だった俺達第１部隊は、本来なら休暇。
けど、「新入隊員の件で相談がある」と上の人から呼び出されて、せっかくの休みだというのに結局なんだかんだ今日も本部へ。

ま、休み、と言ったところで、何をする訳でもないんだけどね～。

いつ緊急の任務が入って呼び出しがかかるか分からない守護神ガーディアンの隊員にとって、休暇、と言ってもそんなにのんびり出来るものでもない。
特に自分の場合、仮にも第１部隊の隊長と言う役職もあるし、連休なんてなかなか取れないから、隊員になって以来、里帰りもろくにしていない。

戦う事なんて好きじゃなかった筈なのに、我ながらよく続いてるよな～。

幼い頃は、まさか自分が守護神ガーディアンの隊員になる事も……。ましてや隊長になるなんて事も、全く想像していなかった。
争い事は正直苦手だったし、人の中心になって何かをするなんてやりたくもなかった。

けれど、総指揮官に……。紫夕しゆうさんに出会って、俺は少しずつ変わっていったんだ。
昔、町で迷子になった俺を、両親の元まで送り届けてくれたのが紫夕しゆうさんで、そこから色んな縁があって……俺はいつしか、「紫夕さんこの人と働きたい」って思うようになっていたんだ。

何故か、不思議な力で惹きつけられた気がしたーー。

あの人の力になりたい。
あの人を支えたい。
そんな風に思ううちに自然と出世していって、いつしか第１部隊の隊長に俺はなっていた。

そしてもう一人、俺には気になる人がいる。
この気持ちが何なのか、まだハッキリとは分からないけど……。その人を見ると心が弾むのに、何故か穏やかで優しい気持ちになれるんだ。

ーー……あ、居た。

何となく歩みを進めていた、医療施設地域エリア。
その内にある建物の角部屋は、怪我や病気になった人が訪れる救護室だ。今日もそこに、その人は居る。