グレイ

第５章（２）紫愛side

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本当はこうしている時間も惜しくて、一分一秒でも早くこの場から飛び出して、私もパパと兄貴にーにの居る場所に行きたい。
けど、今私が自分の意思だけで身勝手な行動をすれば、それはパパにも私達を受け入れてくれたみんなに迷惑をかける事。

トニーさんの許可をもらわなきゃ……！

そう必死に頭を下げてお願いしていると、私の横に居たエマも一緒に頭を下げてくれた。

『私も紫愛シアと一緒に行く！』

そんな優しいエマ心の声が聴こえてきて、心細かった気持ちが励まされる。
けど、そんな私達を見つめながら、トニーさんはグッと表情を引き締めて言った。

「……ダメだ」

「っ、トニーさん！」

「下級のお前達を二人で危険な現場に行かせるなんて、許可出来ない」

それは、当然の返事だった。
いくら人型魔物で並の人間より魔器マギを上手く扱えても、私はまだまだ守護神ガーディアンの中では新米隊員。エマなんてやっと魔器マギの扱いに慣れてきたばかりで、まだ一度も本当の魔物とは戦闘していない。
そんな二人を危険な……。魔物の中でも最上級のダークゲイルが現れるかも知れない現場に、行かせてもらえる筈はなかった。

でも、諦める訳にはいかないーー。

一体どうすればいいか、と考えた。
けど、焦る頭では良い答えが見付からない。
その時だった……。

「それはオレが行く、って言えば……。オレ達第２部隊で行くなら問題ないって事か？」

救いの声が、耳に届く。
顔を向けると、そこに居たのは……。

「っ、アレク……！パトラ……！」

私が名前を呼ぶと、パトラはフッと口角を上げて微笑ってくれた。そして歩み寄ってくると、驚く私の頬に触れながら言う。

「フフッ、なんて表情かおしてるの？紫愛シア。
言ったでしょ？「困った時はパトラに何でも言いなさい」って！」

その言葉に、また涙がじわっと溢れてきてしまう。
そしてアレクも、ゆっくり歩み寄ってくると照れ臭そうに頭を掻きながら口を開いた。