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第2章(1)アカリside
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しおりを挟む「……じゃ、お邪魔しました。
夕飯美味かったぜ、ごちそうさま」
私が後片付けを終えると、子供達はすっかり夢の中。
お見送りする為に私も一緒に玄関まで行くと、ユウさんは微笑みながら頭をポンポンッと撫でてくれた。
「いえ、こちらこそ。
ヒナタもヒカルもすごく嬉しそうで……。
いつも、ありがとうございます」
軽く会釈をして、笑顔を返す。
すると……。
「……アカリは?楽しかった?
僕としては、アカリも喜んでくれないと意味がないんだけど?」
「え?……っ」
ユウさんの問い掛けにドキッとした瞬間、身体に感じる暖かいぬくもり……。
私は、彼の腕の中に優しく抱き締められていた。
大切なものを包み込むようにしてくれる、腕の中。
……それなのに。
私の身体は、強張ったように動かなくなる。
私の手は彼の背中に回して抱き返す事も出来ず、抱き締められた体制のままぶらんとしているだけだった。
「もっと甘えてくれたら嬉しい。
そのっ、恋人……なんだから」
照れたようなユウさんの声が、密着しているせいですごく近くに聞こえる。
”恋人”……。
そう、私とユウさんは……もう恋人。
甘えればいいの。
彼氏と彼女なんだから、甘えればいい。
……。
でも、どうすればいいんだっけ?
甘える、って……どうやるんだっけ?
頭の中に浮かぶ疑問。
私は迷ってしまった。
当たり前にしていた事。
ヴァロンと一緒にいた時は、抱き締められたら抱き返して……。
自然とその胸に頬を寄せて、擦り寄っていた私。
嬉しくて嬉しくて、胸が弾んで……。
自らもっと触れたくなって、照れながら見上げると……。
ヴァロンは優しい瞳で見つめてくれて、私にそっと口付けてくれたの。
”アカリ”って、私の名前を呼んで……。
「……アカリ」
「っ……」
ヴァロンの事を思い出している最中にユウさんに名前を呼ばれて、思わずビクッと動揺してしまう。
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