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第2章(1)アカリside
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しおりを挟むユウさんはそんな私から少し身体を離すと、さっきよりも少し小さな声で尋ねてきた。
「……キス、してもいい?」
遠慮がちに頬に触れてくる彼の手。
顔を少し上げて見ると、ユウさんは今までに見た事がないくらいに真っ赤で……。
頑張って、勇気を出して問い掛けてくるたんだと思った。
……。
そう、分かっているのに……。
「っ……」
私は返事が出来ず、頷く事も出来ずに目を泳がせてしまった。
たったの数秒が、こんなにも苦痛で長く感じた事があっただろうか?
沈黙の気不味い時。
それを破ったのは、ユウさん。
私の両腕を握る手に少し力を込めて、覚悟を決めたかのような視線で見つめられる。
私達は、恋人。
避けるなんて……出来ない。
たくさんの罪悪感を抑え込んで、私はギュッと目を閉じた。
……
…………。
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