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第4章(2)アカリside
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しおりを挟むじっと見つめている私と目が合うと、泳がせるように視線を逸らされてしまうし、何だかオドオドとしている。
射るような強い眼光を放っていたヴァロンとは、全く違っていた。
それに……。
頑張って微笑もうとしているけど、その笑みはどこかぎこちなくて、寂しそうに見える。
まるで笑い方を知らない子供のように幼く、私の瞳に映った。
「これ、伊達眼鏡なんで本当に気にしないで下さい。
……では。……」
「!っ……あ、あの!」
立ち上がった男性は軽く一礼すると、私達に背を向けてその場から去ろうとする。
彼が行ってしまう!
私はハッとして呼び止めると、ドキドキする鼓動を必死に抑えて、ダメ元で呼んでみようと思った。
”ヴァロン”って……。
そしたらきっと、答えが分かると思った。
しかし。
私の呼び掛けにゆっくり振り向く男性に、その名を呼ぼうとした瞬間。
「マオ様ッ…!!」
と言う可愛らしい声を発した女性が、私の目の前の男性に抱き付いた。
その光景に、ドクンッと心が激しく揺れる。
赤に近いフワッとした茶髪に、パッチリとした茶色い猫目の女性。
身体のラインが美しく見えるピタッとしたセクシーなワンピースを着こなして大人っぽいのに、男性に抱き付き見つめるその表情はとても可愛らしい。
目の前に突然現れたこの女性を、私は知っていた。
「お待たせして申し訳ありません。
打ち合わせが少々長引いてしまって……」
「いえ、お仕事お疲れ様です。ミネアさん」
”ミネアさん”……。
男性が、その名を呼んで私の記憶は確かなものに変わる。
ミネア。
間違いない。
以前ヴァロンが連れて行ってくれた温泉旅行で会った女性。
そして、ヴァロンが長期任務の際に”一夜を共にした”って恋人疑惑を掛けられた女性だった。
なぜ、彼女がここに?
……いや。
それよりも、私には気になる事があった。
”マオ様”……。
ミネアさんは、目の前の男性をそう呼んだ。
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