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第5章(1)アカリside

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ヴァロンの言葉は、魔法の言葉。


「ただいま。
待たせてごめん、頑張ったな」

貴方にそう言ってもらえたら、この三年間の寂しさなんてあっという間に溶けて……。
涙なんてすぐに笑顔に変わっちゃうの。


「相変わらず泣き虫だな、アカリは」

そうやって、意地悪そうに首を少し傾けて微笑ってくれたら……。
抱き締めて、名前を呼んで、口付けてくれたら……。

それだけで、自分で自分にヤキモチを妬いてしまうくらいに、私は幸せだと思える。


それなのに……。


”ミネアさん”……。

聞きたくなかった。
貴方が、別の女性を呼ぶ声なんて……。


私以外の女性を見つめないでよ。
簡単に抱き付かれたりしないでよ。

私以外の女性を、”特別”になんてしないで?


そう叫ぶ私に、突き刺さる言葉。

”貴女に泣く権利なんてあるのかしら?
先に彼の手を放したのは、貴女でしょう?”


もう、私には……。
ヴァロンを愛する権利も、ないのだろうか?

……
…………。
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